2019 Fiscal Year Research-status Report
感染症患者の人権を守るための看護師の倫理的行動に関する研究
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16K11916
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Research Institution | Aomori University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
福井 幸子 青森県立保健大学, 健康科学部, 准教授 (00325911)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大西 香代子 甲南女子大学, 看護リハビリテーション学部, 教授 (00344599)
矢野 久子 名古屋市立大学, 大学院看護学研究科, 教授 (00230285)
安岡 砂織 東邦大学, 看護学部, 准教授 (80459817)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | HBVキャリア / 質問紙調査 / 倫理的行動 / 医療従事者 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度末にHBVキャリアを対象に実施した医療従事者の倫理的行動に関する質問紙調査結果について、3回にわたる研究会議で検討し、2つの視点でデータ分析を進めた。 1.HBV感染の診断時期を標準予防策(SP)の普及前と普及後に分け、感染対策の基本である標準予防策実施による影響を分析した。Mann-WhitneyのU検定で医療従事者の倫理的行動に関する24項目を比較した結果、HBV感染に伴う区別や、医師による病気についての説明と告知後のサポートに関する8項目に有意差が見られた(p<0.05~0.01)。 2.調査結果を因子分析し、第Ⅰ因子【不安な心に寄り添う看護】(5項目)、第Ⅱ因子【病気を受容できる説明】(4項目)、第Ⅲ因子【差別的対応】(4項目)、第Ⅳ因子【前を向いて生きていくための支援】(5項目)の18項目を得た(Cronbachのα係数0.902)。次に体験場面を≪診断当時≫と≪最近の受診≫に分け、対応のあるt検定、またはWilcoxonの符号付順位和検定で比較した。総点平均では《診断当時(中央値1990年)》53.0点、《最近の受診(中央値2018年)》59.8点であった(p=0.000)。有意差(p<0.05~0.01)が見られた項目は、「①説明なく他の患者と違う対応をされた、②病気が理由で、物(もの)のように機械的に対応された、③根拠のない差別的対応(診察や処置の順番)があった、④病気が理由で、接するのを怖がられたり嫌がられたりした、⑤病気や治療について医師から理解できる説明があった、⑥標準予防策は感染の有無に関わらず同じ対応をするので、周りの人に自分が感染症であったことを知られずにすんだ、⑦感染させる病気であることをわかりやすく説明してくれた、⑧看護師は相談しやすい雰囲気だった、⑨看護師が病気とともに生きていく自分の力になってくれた、他7項目を含む16項目であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度掲げた「今後の研究の推進方策」と照合すると、次の点からおおむね順調に進んでいるといえる。 1.インタビュー調査結果から得られた、HBVキャリアの医療機関での経験と病気体験が及ぼした影響については論文にまとめ投稿中である。 2.質問紙調査結果の分析をし、標準予防策普及後の変化について得られた知見を論文にまとめ投稿中である。 また、因子分析により、感染症患者に対する看護師の倫理的行動尺度を開発するうえで資料を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
1.HBVキャリアを対象とた質問紙調査結果から得られた医療者の倫理的行動に関する研究成果を学術集会での発表や論文で公開する。 2.看護師を対象とした、感染症患者への倫理的行動に関する調査に取り掛かるための準備を進める。
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Causes of Carryover |
現在、研究成果をまとめており、学会発表や論文として公開予定であるため、次年度に使用が生じた。
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Research Products
(2 results)