2016 Fiscal Year Research-status Report
虚血性心疾患予防のための生活習慣指導への漸進的筋弛緩法の導入
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16K11934
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Research Institution | Kyoto Gakuen University |
Principal Investigator |
岡田 朱民 京都学園大学, 健康医療学部, 講師 (90587510)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小板橋 喜久代 京都橘大学, 看護学部, 教授 (80100600)
小山 敦代 聖泉大学, 看護学部, 教授 (10290090)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | リラクセーション / セルフコントロール / 概念分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、虚血性心疾患の発症予防として、冠動脈危険因子を持つ成人に対し、リラクセーション法のなかの漸進的筋弛緩法を導入することにより、ストレス認知とタイプA行動パターンの行動変容が起こる可能性について検討することである。対象に、リラクセーション法の介入効果を検証するにあたり、改めて、リラクセーションの用語の定義の確認を行った。「CiNii」の検索システムを利用し、国内の図書・雑誌に限定し、「リラクセーション」のキーワードに基づき検索して得られた54件の文献のうち、論文タイトルおよび要約から内容を確認し、重複する文献を削除した結果36件を抽出した。Rodgers.B.Lの概念分析の手法を用いて、先行要件、属性、帰結、関連概念を見出した。その結果、「リラクセーション」の概念は、単にストレスのない状態、ゆったりとした状態をいうのではなく、「心身の緊張が解け、生体調節機構が調った状態であり、緊張と弛緩のバランスを訓練によって意識的にセルフコントロールしている状態」と定義された。海外では既に行動医学的な観点からとらえられていることを前提として国内文献に限って分析したが、心理学、行動医学の分野では、我が国も同様に概念が定着していることが明らかとなった。本研究の目的とする虚血性心疾患の発症を予防するために、セルフコントロールとしてのリラクセーション法を介入で用いることで危険因子を避ける効果が期待できると考える。今回の研究結果は看護系学会誌に投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、虚血性心疾患の発症予防として、冠動脈危険因子を持つ成人に対し、 リラクセーション法のなかの漸進的筋弛緩法を導入することにより、ストレス認知とタイプA行動パターンの行動変容が起こる可能性について検討することである。研究方法は、量的研究(介入研究:シングルケースデザイン)と帰納的質的研究を用いた混合研究法にて実施する。 市内の健康診断を実施している施設の健康診断および人間ドックにて高血圧、高脂血症、喫煙、肥満の冠危険因子を指摘された成人期にある者のうち、スクリーニングによりタイプA行動と判断された対象者15名を選定する。必要標本数は、ランダマイゼーション検定を実施することから開始ポイントを5つの時期にずらしながら、それぞれに3人ずつの参加者をランダムに割り付けて算出(15C3=455)した。対象者に対し7か月にわたり継続的にリラクセーション法による介入を実施し、その間のストレス認知と行動変容の経過を分析・評価する。 平成28年度は、本研究に着手するにあたり、研究倫理審査を受けるために研究倫理審査申請書を作成すると同時に、セルフコントロールとしての「リラクセーション」の概念分析を実施した。倫理審査申請書は、所属大学の研究計画審査委員会に提出し審査を受け、平成29年1月24日に承認を得た。しかし、平成29年4月1日より研究代表者本人の所属の変更により、研究実施場所が変更となるため再審査を受けているところである。その結果により、健康診断を実施している施設及び企業の健康管理センターに研究協力を依頼する。「リラクセーション」の概念分析については、研究実績の概要の通りである。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、研究倫理申請書が受理されれば、既に依頼している健康診断を実施している施設及び企業の健康管理センターに研究協力を依頼する。研究協力の募集案内を設置させてもらい、研究協力者を募る。研究協力の申し出があった者に連絡先を確認し、都合の良い場所へ研究者が出向いて研究依頼書に基づき研究参加について説明し、研究協力の同意を得る。研究の同意が得られたら被験者に対して7か月にわたり継続的にリラクセーション法による介入を実施する。具体的介入方法は、7か月間のうち、最初の2か月をベースライン期、次の3か月間を操作導入期、最後の2か月間をベースライン期と位置づけ、ベースライン期には、これまで実施していたセルフケアを継続してもらい、現状を把握する。1週間に1回計8回、生理的指標(血圧、脈拍、心拍変動(heart rate variability:以下HRVとする))及び主観的指標(リラックス度)の測定を実施。また、その日に起こった出来事や感じたことを自由記述してもらう。ベースライン期の初回時、1か月後、終了時にA型行動パターンスクリーニングテスト及び心理的ストレス反応を測定する。操作導入期には、1週間に1回計12回漸進的筋弛緩法指導を指導し、ベースライン期と同様の評価を行う。最後の2か月は、ベースライン期として自宅にて2か月間毎日、リラクセーション法の自己訓練を継続実施してもらい、1週間に1回計8回ベースライン期と同様の評価を行う。 平成30年度は、研究の結果を分析・評価する。客観的指標はランダマイゼーション検定を、リラクセーション法体験による個々人の内的受け止め、体験の意味付けと評価などの主観的指標は、内容分析を行う。これらの結果から得られた知見を虚血性心疾患予防の指導に位置づける。
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