2017 Fiscal Year Research-status Report
虚血性心疾患予防のための生活習慣指導への漸進的筋弛緩法の導入
Project/Area Number |
16K11934
|
Research Institution | Bukkyo University |
Principal Investigator |
岡田 朱民 佛教大学, 保健医療技術学部, 講師 (90587510)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小板橋 喜久代 京都橘大学, 看護学部, 教授 (80100600)
小山 敦代 聖泉大学, 看護学部, 教授 (10290090)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | リラクセーション法 / 虚血性心疾患予防 / 漸進的筋弛緩法 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、本研究に着手するにあたり、研究倫理審査を受けると同時に、「セルフコントロールとしてのリラクセーション」の概念分析を実施した。所属大学にて研究倫理審査の承認を得たが、平成29年4月1日より研究代表者本人の所属の変更により、再審査を受けた。承認を得たのち、平成29年度は研究実施場所から2.5㎞圏内の健康診断または人間ドックを実施している施設8か所に被験者募集の研究協力依頼を実施した。研究協力に同意のあった6か所の施設に対し、自作のチラシを1000枚作成し、施設設置または健康診断来訪者に直接配布を行った。応募者に対しタイプA行動スクリーニングテストを実施し、タイプA行動と判断され、研究内容に同意のあった者を被験者として、現在介入中である。 一方、2012年より科学研究費助成事業として4大学が連携し、「リラクセーション法指導者養成教育プログラムの構築と看護講座」の開催を実施し、3年間の事業終了後も引き続き本講座を開催し、本年で3年目となる。受講者は、がん患者の症状改善や痛みのコントロール、精神障害者の社会復帰支援などに対し、何か手立てはないかという思いで本講座に参加されている。そしてリラクセーションの理論と技法を学び、患者への実践を通して患者が自分の内面に目を向けるきっかけになり、気持ちが落ち着いて、緊張が和らいでいる様子を実感でき、確かな変化があることを報告している。この取り組み内容について、2017年12月16日、17日に仙台で開催された第37回日本看護科学学会学術集会の交流集会で、「自然の回復過程を調える看護の探求―統合医療における看護の位置づけを求めて―」のテーマの中で「全人的アプローチとしてのリラクセーション法」の演題として報告した。この成果を本研究における対象者へのリラクセーション法の指導や認知の働きかけに役立てていく予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、虚血性心疾患の発症予防として、冠動脈危険因子を持つ成人に対し、リラクセーション法のなかの漸進的筋弛緩法を導入することにより、ストレス認知とタイプA行動パターンの行動変容が起こる可能性について検討することである。研究方法は、量的研究(介入研究:シングルケースデザイン)と帰納的質的研究を用いた混合研究法である。 平成29年度は、研究実施場所から2.5㎞圏内の健康診断または人間ドックを実施している施設8か所に被験者募集の研究協力依頼を実施した。研究協力に同意のあった6か所の施設に対し、自作のチラシを1000枚作成し、施設設置または健康診断来訪者に直接配布を行った。被験者は、健康診断および人間ドックにて高血圧、高脂血症、喫煙、肥満の冠危険因子を指摘された者とした。応募のあった者に対しタイプA行動スクリーニングテストを実施し、タイプA行動と判断され、研究内容に同意のあった者を被験者とした。研究方法はシングルケースデザイン法による介入研究とし、研究の同意が得られた被験者に対して7か月にわたり継続的にリラクセーション法による介入を実施する。分析方法として対象者間多層ベースラインのランダマイゼーション検定を実施することから、操作導入期のランダム振り分けを実施し、現在最初の2か月のベースライン期の介入を実施している。ベースライン期では、これまで実施していたセルフケアを継続してもらい、1週間に1回、生理的指標(血圧、脈拍、心拍変動(heart rate variability:以下HRVとする))及び主観的指標(リラックス度、SRS-18)の測定を実施し、現状把握に努めている。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、研究の同意が得られた被験者に対し、引き続き7か月にわたり継続的にリラクセーション法による介入を実施する。現在、最初の2か月をベースライン期として位置づけ、これまで実施していたセルフケアを継続してもらい、1週間に1回生理的指標及び主観的指標の測定を実施している。ベースライン期の介入が終了した被験者から随時、次の3か月間を操作導入期と位置付け、1週間に1回計12回漸進的筋弛緩法を指導し、生理的指標(血圧、脈拍、心拍変動(heart rate variability:以下HRVとする))及び主観的指標(リラックス度、SRS-18)の測定を実施していく。また、その日に起こった出来事や感じたことを自由記述してもらい、リラクセーション法の体験によるストレス認知や行動特性への変化について確認する。最後の2か月をベースライン期として位置づけ、自宅にて2か月間、リラクセーション法の自己訓練を継続実施してもらい、1週間に1回、おおよそ計8回ベースライン期と同様の評価を行う。 平成30年度の後半には、研究の結果を分析・評価する。客観的指標はランダマイゼーション検定を、またリラクセーション法体験による個々人の内的受け止め、体験の意味付けと評価などの主観的指標は、内容分析を行う。これらの結果から得られた本研究の成果を看護系学会に発表、もしくは看護系雑誌等に論文として投稿し、看護職者へ周知する。また、報告書として冊子を作成し、研究機関や協力施設へ配布する。さらに、虚血性心疾患発症予防の指導内容へ位置づけていく。
|
Causes of Carryover |
平成30年度は、既に介入を開始している被験者に対して引き続き継続的にリラクセーション法による介入を実施する。最初の2か月をベースライン期、次の3か月間を操作導入期、最後の2か月間をベースライン期と位置づけ、およそ28回、所属大学の看護学実習室にて生理的指標(血圧、脈拍、心拍変動(heart rate variability:HRV))及び主観的指標(リラックス度、SRS-18)の測定を実施する。そのため、介入実施のための物品や研究協力者に対する謝金、交通費が必要である。またデータの分析にあたり、専門的知識の提供や分析の業者依頼を予定し、それらの費用が必要である。さらに、本研究により得られた結果を看護系学会に発表し、看護職者へ周知するための参加費や報告書の作成費が必要であるため。
|
Research Products
(1 results)