2018 Fiscal Year Research-status Report
看護学生の安全学習におけるメタ認知の構成要素と尺度開発
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16K11944
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
南 妙子 香川大学, 医学部, 准教授 (60229763)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | メタ認知 / 安全学習 / 看護学生 / 尺度開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
看護基礎教育において、看護学生が自身の行動や能力を把握し、自己の行動をコントロールしていくメタ認知能力を育成し、学生の事故防止能力や安全能力を高めていくことは重要である。本研究は、看護学生の安全学習におけるメタ認知能力を構成する要素を明らかにし、メタ認知測定尺度を開発することを目的としている。 昨年度からの課題であったメタ認知測定尺度を構成する質問紙を作成後、一次調査を実施し、予備尺度を完成することが目標であったが、質問項目の収集に難渋し、外部尺度の検討とともに調査用紙の作成中である。 これまでの成果としては、安全学習におけるメタ認知尺度を構成する概念を整理し、質問項目を作成する過程で、医中誌ウェブ版にて「メタ認知」&「看護」&原著で検索し、看護基礎教育におけるメタ認知研究の動向を明らかにした。32件の文献を概観したところ、メタ認知の実態を調査したもの、チュートリアル教育やシミュレーション教育、危険予知トレーニングなどの教育方法のメタ認知への影響を検討したもの、クリティカルシンキング能力や読解力等とメタ認知の関係を明らかにした研究に大きく分けられた。また、尺度開発研究もあったが、看護技術の習得に関する学習方略に焦点が当てられた研究であった。更に、今回の尺度は、安全学習におけるメタ認知尺度の作成が目的であるため、「看護基礎教育」&「安全教育」&「看護学生」&原著で検索した36件の文献を検討した。看護基礎教育における安全教育研究は、実習中のインシデントや学生の危険認知の実態調査研究から、危険予知トレーニングやシミュレーション教育の効果を教育実施前後の安全意識やリスク感性の変化によって検討した研究へ、また、近年ではノンテクニカルスキル向上へアプローチした教育研究へと変化していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
尺度開発という研究デザインにおける構成概念の明確化は、研究の核を成す部分であるため、文献検討、概念整理、質問項目収集に十分な時間をかける必要があった。しかし、研究開始年度からの人員減数による通常業務の増大に加えて、突然の教員の異動も加わり、担当科目の運営計画立案・実施に多くの時間を割くことを余儀なくされ、研究に集中して取り組める時間を確保することができなかった。次年度も人員減数状況は続くため、できる限りの業務調整を行い、研究スケジュールを組み、研究時間を確保していくことが必要である。調査の実施・データ入力にあたっては、研究補助者の雇用を考えていく。
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度は、現在検討中の質問紙を完成し、調査協力の得られた四国内の看護系大学1校に在学中の1~4年次生を対象に、一次調査を実施する。探索的因子分析を進め、尺度項目を精選し、「看護学生の安全学習におけるメタ認知」予備尺度を完成する。次いで、調査協力が得られた四国圏内の看護系大学に在学中の1~4年次生を対象に、本調査実施の準備をすすめ、確証的因子分析後、構成概念妥当性を因子構造モデルの適合度、基準関連妥当性は外部尺度との相関係数、信頼性はクロンバックのα係数にて検討し、尺度の完成に向けて努力するとともに、学会等での結果の公表に向けて準備していかなければならない。
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Causes of Carryover |
研究の進捗状況が芳しくなく、調査データ分析用のパソコンの購入や調査のための交通費や切手代などの郵送費用の支出が遅れているためである。また、研究資料収集としての研究支援者雇用の人件費の支出もなかったことによる。次年度は、これら機器の購入費用の他に、調査用紙の作成のための用紙や印刷トナー、封筒、調査のための郵送費用などが必要である。また、データ入力補助者の雇用を予定したい。
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