2020 Fiscal Year Research-status Report
看護学生の安全学習におけるメタ認知の構成要素と尺度開発
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16K11944
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
南 妙子 香川大学, 医学部, 准教授 (60229763)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | メタ認知 / 看護学生 / 安全学習 / 尺度開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、看護学生の安全学習におけるメタ認知測定尺度を開発し、学生の事故防止能力や安全能力育成のための安全教育に寄与することを目的としている。 これまでの成果としては、調査協力の得られた四国内の看護系大学に在籍中の1~3年次生に一次調査を実施し、「ケア実践モニタリング・コントロール能力」、「認知特性要因知識」、「事故防止自己点検能力」、「事故回避必須能力」の4因子36項目の看護学生の安全学習メタ認知予備尺度を作成した。尺度全体のCronbachの信頼係数は、α=0.95であった。 4因子についての学年比較では、第1因子の「ケア実践モニタリング・コントロール能力」と第2因子の「認知特性要因知識」の2因子は学年間で有意差は認められなかったが、第3因子の「事故防止自己点検能力」と第4因子の「事故回避必須能力」は、3年次の平均点が、1・2年次学生より有意に高かった。第3因子は、疲労や睡眠不足、体調不良の有無やチェックリストの活用を問う項目で構成され、第4因子は、1人で実施できないときは指導者の支援を要請するや知らないケアについては質問をするなどの項目で構成されている。調査時期が3年次の各領域別臨地実習をすべて終了した時期であったことから、学生の安全学習のメタ認知的知識は、臨地実習での経験を通して促進されていることが明らかになった。 基準関連妥当性の測定として用いた看護学生のリスク感性尺度6因子(「安全行動遂行力」、「リスク体験活用力」、「リスク情報活用力」、「リスク回避準備力」、「リスク対応準備力」、「リスク察知観察力」)との因子相関では、第1因子の「ケア実践モニタリング・コントロール能力」、第3因子の「事故防止自己点検能力」、第4因子の「事故回避必須能力」との間に、r=0.3~0.7の間で有意な相関関係が認められ、リスク感性尺度とメタ認知尺度の測定概念の関連が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
補助事業期間延長申請により、研究継続延長が認められ、一次調査結果で作成した尺度を用いた二次調査の実施に向けて研究協力校への調査依頼準備を進めていたところ、COVID-19感染対策による大学授業のオンライン化、緊急事態宣言による研究活動の制限などによって、研究協力校への調査依頼を控えざるを得ない状況となった。さらにCOVID-19感染が収束せず、研究計画変更も検討せざるを得ない状況となったが、COVID-19への対応による通常業務の増大に加えて、研究者本人の勤務先異動に伴い、研究時間の確保が非常に困難な状況となった。 次年度は、補助事業期間の再延長申請により、研究継続最終年とできたことから、異動先大学で倫理審査を再受審後、尺度の完成に向けて、二次調査・分析を実施していく。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度は、「看護学生の安全学習メタ認知予備尺度」を用いた二次調査の実施、尺度完成に向けて、まず研究者の異動先大学での倫理審査を受審する。 二次調査は、中・四国・近畿地方の4年制大学(調査対象数としては4校・1200名を目標)に調査協力を依頼し、協力の得られた1~4年次大学生を対象として郵送法あるいはWeb調査法(30%回収率を目標)にて調査する。しかし、COVID-19の影響により、協力校の確保が目標数に至らない場合が考えられるため、その場合は、分析対象数を200人を目標に、調査を進めていくこととしたい。 分析は、SPSSを用いて、探索的因子分析を実施した後に、Amosにて、確認的因子分析を行い、因子構造モデルの適合度を検討し、看護学生の安全学習におけるメタ認知の構成要素の明確化と尺度の完成を目指すとともに、学会・雑誌等での成果公表に向けて準備を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
本年度はほとんど研究を進めることができず、予定していた二次調査に要する交通費ならびに郵送費の費用支出がなかったこと、ならびに、研究時間確保の困難状況があり、成果発表も進めることができず学会参加費用などの支出がなかったことにより生じている。次年度は、二次調査の実施に向けて、印刷用紙や印刷トナー、調査のための郵送費用等の購入費が必要であると考えている。また、成果発表に向けての学会参加費、看護系雑誌への投稿費等が必要である。
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