2016 Fiscal Year Research-status Report
小児・若年者甲状腺癌の長期フォローアップ体制の構築
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16K11990
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
古橋 知子 福島県立医科大学, 看護学部, 准教授 (30295761)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊田 敦 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (40224894)
鈴木 眞一 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (70235951)
鈴木 悟 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (30222061)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 看護学 |
Outline of Annual Research Achievements |
大学倫理委員会から2016年6月末に承認を得て、研究を開始した。平成28年度の実施計画に基づき、6月~11月にかけて【3.小児がん経験者への調査およびフォローアップの準備】として、聞き取り用紙、対応フローおよびデータベーステンプレート作成についてシステム会社との検討および予算交渉を重ねた。その結果、テンプレート作成の外部委託はしないとの方針を固め、以後はファイルメーカーを用いて独自でテンプレート作成に取り組み、フォロー体制について関係者での話し合いを行い、2017年度からの聞き取り調査に向けて準備を行った。 実施計画の【1.甲状腺癌に罹患した小児・若年成人の治療経過と要した治療・支援の実態調査】については、大学HP上で研究実施についての情報公開を確認したうえで、研究を開始した。対象となる81名の診療記録から、基本情報(年齢、性別、既往歴、家族歴、診断時年齢、診断契機、病理組織検査、画像検査(甲状腺超音波、CT等)、治療内容(結節部位、摘出範囲、リンパ郭清範囲、処方薬)、診断名、血液検査(血液一般検査,生化学検査、内分泌検査、自己抗体検査))呈した症状や持続期間(嗄声、頸部違和感、創部の肥厚性瘢痕)、診察前中後での質問内容、表出された不安・心配、必要とした支援内容を抽出した。これらのデータについて記述統計および計量テキスト分析を行い、明らかとなった治療経過と要した治療・支援内容の実態を記述している。本研究結果については、2017年秋に開催される第50回日本甲状腺外科学会学術集会にて発表を計画している。 実施計画【1】の結果と文献を参考にして行う【2.甲状腺癌に罹患した小児・若年成人の長期フォローアップツールの作成】は、検討中であり、長期フォローアップ手帳(試作版)の完成には至っていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実施計画の【3.小児がん経験者への調査およびフォローアップの準備】として行った調査ツールの運用、2017年度からの調査およびフォローアップの実施体制について研究者間で最終的な打合せがまだできていない。それを経て、関係者への説明および打合せを行う必要がある。 また、2016年度に【2.甲状腺癌に罹患した小児・若年成人の長期フォローアップツールの作成】を終え、2017年度4月より試用を開始するとの計画をしていた。しかし、長期フォローアップ手帳(試作版)の完成には至っておらず、進行が遅れている。 進行が遅れた理由としては、①システム会社との検討および予算交渉に想定以上に時間を要し、結果として外部委託を断念したこと、②研究業務の補助・支援の適任者を探せなかったこと、③12月下旬より予定外に新たな大学における仕事(役割)が研究代表者に降り、エフォートが変化したこと、の3つがあったと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
研究全体としては、研究業務の補助・支援者の確保、研究代表者の業務整理、研究組織内の役割分担の調整を行うといった対策を講じ、本研究課題の推進に努める。 【1.甲状腺癌に罹患した小児・若年成人への「長期フォローアップ手帳」の試用】手帳(試作版)が完成し次第、新たに倫理委員会へ申請し 承認を得て2017年度内に試用を開始する。当初の計画どおり、試用は2018年度まで継続する。試用中に明らかになった問題点を随時記録する。 2017年5月以降、関係者に説明、実施体制および調査ツールの運用について打合せを行い、計画【2】を実施していく予定である。当初計画した内容に、現時点で大きな変更はない。 【2.甲状腺検査を受ける小児がん経験者(CCS)への調査およびフォローアップ施行】 1)長期フォローアップや晩期合併症に関する認識や実態についての聞き取り調査:25歳になられた方を対象に毎年実施される「5年ごとの節目で受診の本格検査」にて、当学で実施される二次検査や甲状腺・内分泌専門外来を訪れたCCSの親(保護者)に前年度に準備した聞き取り用紙を用いながら面談を行う。そこでCCS本人への病名告知、疾病・治療内容の説明や理解、晩期合併症に対する認識などの状況を確認する。その結果および子どもの年齢や発達段階に応じた配慮をしながら、CCSの親(保護者)のみならずご本人に対しても研究の説明を行い、同意を得る。研究への同意が得られた方に対して、2)以降を実施する。 2)個別のリスク評価とフォローアップ計画の立案,リスクベースケアの提供:各担当(CCSの罹患した疾患[菊田]、内分泌合併症[鈴木]、生活面・心理社会的側面[古橋])によるリスク判定およびフォローアップ計画立案を行い、それを研究者間で内容共有し、検討会を行い、個々のCCSに対して内容、提供のあり方を検討したリスクベースケアを提供する。
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Causes of Carryover |
データベーステンプレート作成に関するシステム会社との検討および予算交渉で、当初の予算計画を大幅に超えて「その他」での支出が増える可能性があった。そのため、調整のための予算として「人件費・謝金」が考えられ、この件が決着するまでは使用を控えざるを得なかった。 データベーステンプレート作成の委託に関しては11月に決着したが、その後2016年度に計画していた研究内容に応じた業務を補助・支援してくださる適任者を探すことができなかった。そのために、平成28年度の「人件費・謝金」の支出が無く、次年度に使用する形となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2016度に購入予定であったパソコンは、作成するデータベーステンプレートとの兼ね合いで検討する必要が生じた。そのため、2016年度は必要最小限の1台を購入した。そのため、2017年度に計上していていた「物品費」と合せて、研究遂行のために最適なモバイルPCあるいはタブレットの購入に充当していく。 また、研究業務の補助・支援者を得るようにし、2017年度に計上していた「人件費・謝金」と合わせて使用していく。
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