2017 Fiscal Year Research-status Report
小児・若年者甲状腺癌の長期フォローアップ体制の構築
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16K11990
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
古橋 知子 福島県立医科大学, 看護学部, 准教授 (30295761)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊田 敦 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (40224894)
鈴木 眞一 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (70235951)
鈴木 悟 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (30222061)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 看護学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、初年度にあたる平成28年度に実施した【甲状腺癌に罹患した小児・若年成人の治療経過と要した治療・支援の実態調査】の結果と、文献を参考にして作成した【1.甲状腺癌に罹患した小児・若年成人への「長期フォローアップ手帳」の試用】を2年間かけて実施することを計画していた。しかし、研究代表者の状況に応じて、前年度に完成に至らなかった「長期フォローアップ手帳(試作版)」を1年かけて、作成するように計画を修正した。また、学内における甲状腺癌に罹患した小児・若年成人への支援体制に変更があり、それによって予測された年間新規フォローアップ件数の減少(平成29年度は17例)を確認した。 当初【2.甲状腺検査を受ける小児がん経験者(CCS)への調査およびフォローアップ施行】は、平成29年度からa「25歳になられた方を対象に毎年実施されている5年ごとの節目で受診の本格検査」から開始予定としていた。その結果を踏まえ、平成30年度からb「20歳未満の方に行われる2年間で受診の第4回目の本格調査」での調査開始に向けて、準備を行う計画であった。しかしながら、こちらに関しても研究代表者の状況から、平成29年度からの調査開始は難しいと判断し、平成30年度からaおよびbを同時に開始するように計画を修正することとした。この変更に伴い、平成29年度は小児がん経験者の長期フォローアップに関する研修会(2017年9月23・24日)やシンポジウム(2018年3月10日)に参加して、先駆的な取り組みや具体的な方法についての知識や情報を得た。そこで得た知見を基に、リスク評価およびフォローアップ計画に用いるツールやその具体的な使用および運用方法、より良いフォローアップ体制のあり方などを検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
機密性の保持の観点から①「適当な研究業務の補助・支援者」を得られず、また平成28年12月下旬以降、研究代表者に②「予定外に課された大学における仕事(役割)」により、本研究遂行のための時間確保が難しい状態が継続した。そのため、【1.甲状腺癌に罹患した小児・若年成人への「長期フォローアップ手帳」の試用】、【2.甲状腺検査を受ける小児がん経験者(CCS)への調査およびフォローアップ施行】の開始には至らなかった。その事態への対応として、【2】に関しては、小児がん経験者の長期フォローアップに関する研修会やシンポジウムに参加し、リスク評価およびフォローアップ計画に用いるツールやその具体的な使用および運用方法、フォローアップ体制のあり方などについて情報や知見を得ることに努めた。また、平成30年度からは本研究へのエフォート率を保持し、推進できるようできるように、②の仕事に補助者を雇用して貰うことを交渉し、対応策を講じた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究全体としては、以下1・2共に研究対象者とそのリクルート方法を検討し、新たな研究計画書を大学倫理委員会に申請して進める。 【1.甲状腺癌に罹患した小児・若年成人への「長期フォローアップ手帳」の試用】当初の計画を変更し、平成29年度のフォローアップ実績(新規介入17例)を踏まえ、試用期間を平成31年度までに変更し、継続する。平成30年度は、試用中に明らかになった問題点を随時記録し、手帳(試作版)の洗練・修正のための示唆を得る。 【2.甲状腺検査を受ける小児がん経験者(CCS)への調査およびフォローアップ施行】 1)長期フォローアップや晩期合併症に関する認識や実態についての聞き取り調査:25歳になられた方を対象に毎年実施されているa「5年ごとの節目で受診の本格検査」、平成30年度から20歳未満の方に行われるb「2年間で受診の第4回目の本格調査」にて、当学で実施される二次検査や甲状腺・内分泌専門外来を訪れたCCSの親(保護者)に調査の説明を行い、協力を依頼する。聞き取り用紙を用いて面談を行い、CCS本人への病名告知、疾病・治療内容の説明や理解、晩期合併症に対する認識などの状況を確認する。そこで明らかになった状況、子どもの年齢や発達段階に応じて配慮を行いながら、CCSの親(保護者)のみならずご本人に対しても研究の説明を行い、同意を得る。研究への同意が得られた方に対して、2)以降を実施する。 2)個別のリスク評価とフォローアップ計画の立案,リスクベースケアの提供:前年度に検討・準備したツールとその運用について、研究者間で共有を図ったうえで、リスク判定およびフォローアップ計画についての検討会を持ち、個々のCCSに対して内容、提供のあり方を検討したリスクベースケアを提供する。
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Causes of Carryover |
前年度に引続き、適切な「研究業務の補助・支援者」を得るに至らず「人件費・謝金」の使用が無かった。また、【2】は調査開開始とならなかったために、年度末にようやく主幹となる研究代表者用のモバイルPCの選定、購入に至った。しかし、研究分担者2名分の機器に関しては未だ購入に至らず、初年度分の「物品費」を、さらに次年度に繰り越すこととなった。また、初年度の研究成果についての学会発表も次年度に見送る結果となったために、研究分担者の「旅費」の支出が無く、繰り越すこととなった。 平成30年度内に、これまでの研究成果を発表するようにし、それに伴って研究組織メンバーが「旅費」や「その他」の経費を使用するようにしていく。【2.甲状腺検査を受ける小児がん経験者(CCS)への調査およびフォローアップ施行】に向け、初年度以降繰り越している費用も合せ、必要物品を購入していく。平成29年度までの状況を踏まえ、平成30年度以降は研究を順調に遂行していくために、再度「業務の補助・支援者」以外に、外部発注や委託など可能な部分はないかなど、新たな方策を模索していく。
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