2016 Fiscal Year Research-status Report
看護職と介護職の連携による在宅療養支援リスク管理プログラムの開発
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16K12019
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
原口 道子 公益財団法人東京都医学総合研究所, 運動・感覚システム研究分野, 主席研究員 (00517138)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 看護学 / 医療福祉 / 連携 / 医療安全 / 在宅 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、「看護職と介護職の連携による在宅療養支援リスク管理プログラム」の開発である。 初年度(平成28年度)は、訪問看護事業所976か所、訪問介護事業所981か所を対象とした質問紙調査を実施した。調査内容は、事業所の運営状況、訪問看護師(看護職)または訪問看護職員(介護職)との連携状況(19項目; 5段階リッカート法)、安全管理状況(10項目; 5段階リッカート法)、看護職と介護職の連携を要する療養支援の局面とリスクの実態を把握した。 看護職155名、介護職148名より回答を得た。平均職種経験は、看護職23.6年、介護職13.6年で有意差を認め、訪問サービスの平均経験は、看護職10.1年、介護証11.2年で有意差はなかった。看護職・介護職の互いの職種との連携状況(19項目)について、看護職・介護職ともに「同じ患者家族のために一緒に取り組むという意識をもっている」など関係の確保は構築に関する連携は実施できているが、「連携について事業所内の取り決めがある」など組織的な運営は比較的実施できていなかった。連携項目の総得点平均は看護職・介護職間で有意差を認めなかった。また、安全管理状況(10項目)のうち、看護職と介護職ともに事故事例の報告システムや共有システム、事例検討の場の確保は行われていたが、他事業所との共有や再発防止機能の現場での検討は比較的行われていなかった。安全管理状況の総得点平均も看護職・介護職間で有意差はなかった。 看護職と介護職の連携を要する局面として、看護職278場面、介護職159場面の提供があった。清潔ケア、排泄ケア、栄養・食事ケア、医療処置管理に伴うケアの場面で連携ニーズが多かった。連携がうまくいかずに生じたヒヤリハットは、看護職47場面、介護職32場面の提供があった。次年度は、これらの場面における連携のリスクを分類整理し、プログラム素案の作成に資する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、「看護職と介護職の連携による在宅療養支援リスク管理プログラム」を開発する。研究計画は、1)看護職と介護職の連携を要する療養支援の局面の種類とリスクの抽出、2)療養上のリスクに対する看護・介護の役割・連携内容のリスク分析、3)「看護・介護の役割・連携内容」の検討(プログラム素案)、4)訪問看護師によるプログラムの試用に基づく有効性・有用性の評価を実施する。 当該年度は、1)について、質問紙調査を予定通りに実施し、連携および安全管理の実態を把握するとともに、「リスク管理プラグラム」の基礎資料とする「看護職と介護職の連携を要する療養支援の局面に関するデータが収集できた。次年度は、2)療養上のリスクに対する看護・介護の役割・連携内容のリスク分析に、予定通りに進展することができている。
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Strategy for Future Research Activity |
【平成29年度】初年度の調査により得られた①連携を要する局面・連携内容、②連携によるリスク・リスク回避のための実施内容について、リスク分析を実施し、「リスク予防策」の視点から、それぞれの局面に対応する「看護・介護の役割・連携内容」を導き出す。実施に際して、訪問看護管理者・医療安全研究者・学識経験者等の面接調査を行い、情報の補完および妥当性の検討を行う予定である。 さらに、リスク予防の視点に基づく「在宅療養支援における看護・介護の役割・連携内容」について、各療養支援の局面に対する詳細な実施内容を演繹的に収集する目的で、訪問看護師に対する面接調査を実施する。得られた「看護・介護の役割・連携内容」に基づき、リスク管理プラグラム素案を作成する。 【平成30年度】「看護職と介護職の連携による在宅療養支援リスク管理プログラム(素案)」を訪問看護師および訪問介護職員に対して配布し、有効性・改善点等を質問紙調査・面接調査により評価する。評価後、改定を加えてプログラムを確定し普及啓発のために関係機関に送付する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額は生じた費目は、「旅費」と「その他」である。研究会議に係る旅費は、同一組織内の研究者間で綿密に行えたこと、電話連絡等の打合せも活用して実施できたことにより、打合せに要する旅費を節約することができた。また、「その他」として、研究計画時点において、質問紙調査のデータ入力等を業者委託する予定であった。しかし、自由記載欄を含む入力内容は随時、研究者との確認・相談を要する内容であることから、入力担当者を臨時に依頼し「人件費」として支出するよう変更した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度の調査結果を踏まえて、次年度の研究計画では、訪問看護師及び学識経験者等に対する面接調査を積極的に実施するため、「旅費」の使用が必要となる予定である。 また、これに伴い面接調査の音声データテープ起こしなど「その他」費目として、次年度は使用する予定である。
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Research Products
(20 results)