2019 Fiscal Year Research-status Report
不育症女性の精神的支援-ピア・カウンセリングの効果-
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16K12094
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
片岡 久美恵 岡山大学, 保健学研究科, 講師 (20613780)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中塚 幹也 岡山大学, 保健学研究科, 教授 (40273990)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 不育症 / ピア・カウンセリング / 精神的支援 / 情報提供 / 流産 / 死産 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,不育症女性におけるピア・カウンセリングによる精神的支援の効果を具体的に明らかにすることを目的とした。令和元年度は,ピア・カウンセリングを年間3回開催し,延べ11名の参加が得られた。ピア・カウンセリング前後における自律神経活動の変化やK6などの尺度を用いて気持ちの変化を検証した。また,前年度から継続して,半構成面接法を実施し,ピア・カウンセリングに参加した不育症女性6名より調査への同意が得られ,インタビュー・データから逐語録を作成し,内容を分析している。 平成30年度までに行ったインタビュー・データを質的帰納的に分析し,不育症女性が流死産を経験した後に,ピア・カウンセリングに参加による体験を明らかにした。その結果,不育症女性はピア・カウンセリングに参加することによって,開会直後は【これまで気持ちを理解してもらえなかった経験を重ねてきた】ことから【自分の体験を話してもよいか迷い】が生じていた。会が進行し【経験を安心して話せる環境】であると認識できると,自分の経験などを話したり,他者の発言を聞いたりするうちに,それまで経験できなかった【共感を実感する】【亡くなった子どもの存在を共有】という経験をしていた。さらに【共感が癒しとなる】【支えあう仲間の存在を意識できる】ことが明らかとなった。その一方では,会終了後に,個人的に連絡を取り合うなどの人間関係の繋がりを保持することは,相手の妊娠等の状況を慮るので【自ら連絡をとることは躊躇する】とのことであった。不育症女性にとって安心して流死産経験を話せる場所があることが精神的支援につながる可能性が示唆された。ピア同士の関係性に配慮しながらピア・カウンセリングを継続して運営することが必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルスの感染拡大防止の観点から,ピア・カウンセリングは年3回の開催に留まることとなり,対象者数が量的に比較するまでに至らなかったことが分析を遅らせている原因と考える。 インタビューに関しては,データ収集することに時間を費やしたので分析に至らなかった。分析するための時間を確保することが課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,研究代表者が本研究に関するエフォートを確保する。 新型コロナウィルスの感染拡大防止に関する対策を十分行った上で,4回以上/年のピア・カウンセリングを開催することや,ピア・カウンセリングに参加しやすい場所や日程を工夫し,参加者を増やす努力をする。加えて,ピア・カウンセリングに関する広報活動を範囲を広げて(Web, SNS等の利用も視野に入れて)実施する予定である。 研究計画を1年度延長し、できる限りデータを収集し分析を進め、研究の成果を発表につなげる。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は,ピア・カウンセリング開催回数が不十分であったことが挙がる。 次年度は,主にピア・カウンセリングの開催回数を増やし,安全に開催するための人材の確保や開催準備のための会議費等に使用する。それに加え,実際に開催にあたり,マスクや消毒薬・開催場所の確保などの必要物品の購入等にも充てる予定である。 また,研究成果を国際的な場を視野に入れて発表したり、論文作成のための費用とすることを計画している。
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Research Products
(3 results)