2017 Fiscal Year Research-status Report
短期母乳栄養を選択したHTLV-1陽性妊産婦への訪問助産師による継続支援の開発
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16K12186
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Research Institution | Kobe Women's University |
Principal Investigator |
下敷領 須美子 神戸女子大学, 看護学部, 教授 (10315418)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
根路銘 安仁 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (00457657)
谷口 光代 京都学園大学, 健康医療学部, 助教 (30613806)
岡本 恵 (芝崎恵) 神戸女子大学, 看護学部, 助教 (00515546)
田村 康子 神戸女子大学, 看護学部, 准教授 (80326305)
牛越 幸子 神戸女子大学, 看護学部, 講師 (80437631)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | HTLV-1 / 母子感染 / 短期母乳栄養法 / 家庭訪問 / 断乳支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
訪問助産師による調査開始の準備段階として研修会を実施した。研究分担者により調査内容・方法、記録用紙の検討、記入上の注意点を作成した。14箇所の分娩医療機関から研究協力を得、市町村母子保健担当への研究説明と協力依頼説明を重ね、分娩後に途切れがちな支援を助産師による家庭訪問により断乳期間まで継続する具体的方法を各市で調整した。しかし、児の栄養法選択について、研究開始前と大きく方針を変更した「HTLV-1母子感染予防対策マニュアル」が厚生労働省からH29年3月に発表された。そこで、研究協力分娩医療機関、協力市町村の母子保健担当者、訪問助産師への説明会を順次行った。また、鹿児島県における「HTLV-1感染対応マニュアル」の改訂に関する意見聴取に対し、母乳育児を望むHTLV-1陽性妊婦への充分な情報提供に基づいた栄養法の選択の保障、短期母乳栄養を望む場合の支援の充実、人工栄養を選択した母親への心理面への支援の必要性について意見提出した。8月10日開催の平成29年度鹿児島県HTLV-1対策協議会に出席し、HTLV-1陽性妊婦への継続的な支援の必要性について発言した。平成29年12月、鹿児島県版マニュアルの改訂版が発行された。 現在、協力分娩医療機関からHTLV-1陽性妊婦への説明連絡を受け、妊婦健診時に研究協力依頼の説明の後、同意書を得られたケースについて、訪問助産師による調査を開始している。訪問助産師は原則同じ助産師が継続訪問する。今年度は15名のHTLV-1陽性妊婦から同意書を得た。各ケース、断乳確認まで3回の家庭訪問を行い、身体面、精神面、家族関係・社会関係等の情報収集、支援内容の記述を行い、調査を進めている。 家庭訪問での支援の質を担保するための家庭訪問検討会を開催し、訪問助産師が対応している事例を基に意見交換、勉強会をもった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
H29年3月の厚生労働省の「HTLV-1母子感染予防対策マニュアル」の変更を受け、各研究協力分娩医療機関、市母子保健担当に本研究との関連、影響について説明会をもち、調査開始に時間を要した。平成29年12月に調査地である鹿児島県の「HTLV-1感染対応マニュアル」も改訂され、「HTLV-1陽性妊産婦の児の栄養法は「原則として完全人工栄養を勧める」となり、本研究の調査対象者である短期母乳栄養法を選択するケースが減少し、調査対象者を得ることが困難となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
「HTLV-1母子感染予防対策マニュアル」は変更されたが、短期母乳栄養の母子感染率が高いという新たなエビデンスが出ているわけではないので、母子感染率に関する十分な説明を行った上で、短期母乳を選択する母親への継続支援の必要性はかわらない。予定していた調査期間まで調査を継続する。しかし、予定の調査対象者数が得られない状況であるため、半構造的聞き取り調査を加え、質的研究方法によって、「短期母乳栄養を完遂したHTLV-1陽性の母親における成功要因の検討」を今年度実施する計画で進めている。
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Causes of Carryover |
厚生労働省の「HTLV-1母子感染予防対策マニュアル」の改正により、分娩医療機関により原則完全人工栄養という説明がされ、短期母乳栄養を選択するHTLV-1陽性妊産婦が減少したため、調査対象者が予定数に達せず、訪問助産師への謝金が予定より大幅に少なかった。今年度も引き続き家庭訪問調査を継続するため、家庭訪問調査に伴う訪問助産師への謝金、家庭訪問検討会、家庭訪問記録の入力作業謝金、家庭訪問記録分析検討会等の支出を予定している。また、新たに短期母乳栄養完遂事例の聞き取り調査を行うため、調査に必要な交通費、謝金、検討会等の支出が見込まれる。
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