2018 Fiscal Year Research-status Report
初期認知症高齢者への人生の統合性を目指した看護介入プログラムの評価
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16K12204
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Research Institution | Tsuruga Nursing University |
Principal Investigator |
木谷 尚美 敦賀市立看護大学, 看護学部, 准教授 (50350806)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
沼本 教子 京都橘大学, 看護学部, 教授 (00198558)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 初期認知症 / 人生の統合性 / 老年期 / 発達課題 / 看護介入 |
Outline of Annual Research Achievements |
自分の思いを十分に語ることのできる初期認知症(認知症の前駆状態である軽度認知障害(MCI)ならびに認知症の初期段階)の人に焦点をあて,初期認知症の人が「いま」の危機的状況を乗り越えて老年期の発達課題である「人生の統合性」を獲得し,認知症が進行した未来までも活用できる看護支援プログラム「過去,現在・未来を語り,オレンジノートに遺すプログラム」の介入効果を検証することを目的とした。研究協力者は15人であり,平均年齢は80.7±6.95歳であった。診断名は,MCI5人,アルツハイマー型認知症9人,脳血管性認知症1人であり,MMSEの平均得点は25.3±2.76点であった。発達課題達成尺度の平均点は39.1±4.94点であり,40点以上を高得点群,40点未満を低得点群とした。高得点群は6人,低得点群は9人であり,発達課題達成尺度の得点のみ2群間で統計学的に有意な差がみられた。介入前後の得点の比較については,SF-8,PGCモラールスケールにおいては,介入前後で有意な差はみられなかった。発達課題達成尺度においては,全体において,介入前後で統計学的な有意差が認められた(z=-3.336,p=.001)。得点群別にみると,低得点群において,介入後の得点が介入前の得点と比較して統計学的有意に上昇した(z=-2.680,p=.007)。なお,高得点群においては,介入前後の得点に差はみられなかった。本プログラムにより,発達課題達成尺度の高得点群は高い統合性を維持でき,低得点群においては統合性の高まりがみられた。よって,本プログラムは初期認知症の人が「いま」の危機的状況を乗り越え,認知症を持ちながらでも,自分の人生を自分なりに納得して終えることができるように,「人生の統合性」の獲得を目指した看護支援として有効であると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
介入の一連のプロセスに時間を要するため,当初予定していた複数人を同時進行で進めていくことは困難であり,データ収集に時間を要した。しかし,本年度は順調に経過した。データ収集は完了し,データ分析~考察まで終えることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
結果をまとめることができたので,今後は学会での発表,および認知症ケア学会誌等に論文を投稿し,成果を発表する予定である。
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Causes of Carryover |
近隣地域で研究協力者が確保でき,当初の計画よりも少ない人数で効果を示すことができた。そのため,旅費の支出が大幅に少なかった。 (使用計画)物品費300,000円(内訳:認知症関連の書籍100,000円,文具等の消耗品200,000円),旅費100,000円(内訳:追跡調査20,000円,学会参加80,000円),その他240,000円(内訳:文献複写費30,000円,論文投稿にかかる費用80,000円,学会参加費30,000円,報告書作成費100,000円等)
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