2017 Fiscal Year Research-status Report
中等度認知症をもつ高齢者の日常生活支援におけるアドボカシー実践ガイドラインの開発
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16K12211
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
山地 佳代 大阪府立大学, 看護学研究科, 講師 (80285345)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長畑 多代 大阪府立大学, 看護学研究科, 教授 (60285327)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 認知症高齢者 / アドボカシー / 意思決定支援 / ガイドライン |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢者施設で生活する認知症高齢者が最期まで自らの権利を主張し尊厳ある生活を送るためには、治療選択や看取りといった人生の重要な場面における意思決定支援が必要であるが、食事や排せつといった日常生活の一つ一つにおいても権利が守られ尊厳ある生活を続けるための支援もまた重要である。今年度は、先行調査として行った認知症看護認定看護師9名への個別面接調査の結果及び平成28年度に行った文献検討の結果をもとに、認知症高齢者の日常生活において看護師が実践するアドボカシーのガイドライン試案を作成した。作成したガイドライン試案の有用性や適切性、表現方法等について、老年看護学専門家4名とグループインタビューを行った。その結果、4節15項目から構成される「認知症高齢者の日常生活におけるアドボカシー実践ガイドライン(案)」を作成した。4節のうちの1節は、認知症高齢者の意思決定を支援するものである。高齢者施設で生活する認知症高齢者は、意思決定に関する機能障がいを抱えていることが多く、また周囲への気遣いや集団生活上での困難があると、自らの意思や権利を明確に表現できない場合もある。そのため、捉えづらい認知症高齢者の意思を捉える方策や本人にとっての最善の利益につながる意思決定を支援することができるような項目から構成されている。 また別の1節は、心身機能が多層的に低下した高齢者にとって意思決定の負担感がある場合や、その人が生きてきた文化に基づくその人らしい意思決定のプロセスを重視し、その人の適切な代弁ができることなど、認知症高齢者の利益を保護することができるような項目からなる。こういった項目から構成されたガイドラインは、高齢者施設で生活する認知症高齢者の具体的なアドボカシー実践につながるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度計画で挙げていた通り「認知症高齢者の日常生活におけるアドボカシー実践ガイドライン(案)」の作成に至ることができた。研究計画当初は高齢者施設に勤務する認知症看護認定看護師を研究協力者とする予定であったが、認知症高齢者看護に精通する老年看護学専門家を研究協力者とした。予定していた研究協力者の勤務移動などが重なり調整がつかないことがあり、事前にこのような場合に備えて研究協力者の保有資格を老人看護専門看護師や認知症ケア専門士または上級認知症ケア専門士へと拡大するよう計画を立てていたことに基づき、研究協力者の選定を再検討した。その際、実践的見地からのインタビュー結果はすでにまとめられていたため、幅広い見地からの意見をもとに実践知を体系化する必要性から、老年看護学専門家に協力を依頼し、ガイドライン案の作成に至った。そのため「おおむね順調に進展している」を選択した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、研究計画書の通り、平成29年度に作成された「認知症高齢者の日常生活におけるアドボカシー実践ガイドライン(案)」を精練し、実践への適用可能性を検証する予定である。
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Causes of Carryover |
(理由)平成28年度に文献レビューをするため書籍代を多く計上していたが、web上で閲覧可能となったため、予算の残額が生じたものが影響している。 (使用計画)平成30年度は、成果発表のための学会参加を2回予定しているが、情報収集のため別の学会(日本看護倫理学会学術集会)への参加に使用する。
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