2016 Fiscal Year Research-status Report
地域在住高齢者のレジリエンス・トレーニングのプログラム開発に関する研究
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16K12230
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
久木原 博子 福岡大学, 医学部, 教授 (50268950)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 裕美 福岡大学, 医学部, 教授 (00301359)
安藤 満代 聖マリア学院大学, 看護学部, 教授 (10284457)
中嶋 恵美子 福岡大学, 医学部, 教授 (30461536)
田村 美子 安田女子大学, 看護学部, 講師 (80521814)
有田 久美 福岡大学, 医学部, 講師 (60526523)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 高齢者 / レジリエンス / マインドフルネス / トレーニング / メンタルヘルス / ウェルビーイング |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢者を対象としたレジリエンスに関連する要因は十分に検討されているとはいえず、特に日本の文化的背景を考慮したレジリエンスを高めるためのトレーニングの効果を測定した実証的研究は少ない。今年度の研究は、地域在住の高齢者のレジリエンスとの関連要因を調査することであったため、A地区の社会福祉協議会会長の協力を得て、A地域に在住する高齢者700人を対象とした横断的調査を実施した。調査に使用したスケールは、レジリエンススケール(RS)、首尾一貫感覚スケール(SOC)、主観的幸福感スケール(PGCMS)、高齢者用うつ尺度短縮版(GDS)、主観的ストレススケール(PSS)であった。回収した調査票のうち欠損の少ない369票の調査票(男性:154票、女性:213票)を分析した結果、レジリエンスはSOCとPGCMSと正の相関があり(各r = .431 ; p<.001、r = .433 ; p<.001)、GDSとPSSと負の相関があった(r =-.513 ; p<.001、r =-.380 ; p<.001)。また、男性は女性よりレジリエンスが有意に高く(t=3.154 ; p=.002)、所得の高い人は低いに比べて有意にレジリエンスが高かった(t =-4.276 ; p<.001)。仕事がある人は無い人に比べて有意にレジリエンスは高かった(t =-2.366 ; p=.019)。重回帰分析の結果、所得が高い(β= 0.219 ;p < .001)、家族がある(β = -0.150 ; p = .007)、学歴が高い(β = 0.136 ; p = .018)、宗教をもっている(β = 0.123 ; p =.026)、良い食習慣がある(β = 0.296 ; p<.001)ことがジリエンスの高さに影響していた。この結果は、The 3rd International Society of Caring and Peace Conference (March25-26、2017)で報告した。また、今年度の調査結果をまとめて現在、国際ジャーナルに投稿している。本年度は初年度であったため、地域在住高齢者のジリエンスに関連する要因の検討を中心に行った。次年度はレジリエンス・トレーニング(介入研究)を実施し、その効果を調べる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度は地域在住高齢者を対象としたレジリエンスの関連要因を調べることであった。6月にA地区公民館活動に参加した高齢者を対象に自記式質問紙調査を実施した。その結果を2016年12月に開催された第36回日本看護科学学会学術集会で報告した。さらに、調査対象者を拡大してThe 3rd International Society of Caring and Peace Conference でThe Association between Resilience and Mental Health in Community-Dwelling Older Persons in Japan、 Socio-Demographic Correlates of Resilience among Older Persons in Japanのタイトルで発表した。この結果は、現在論文に仕上げて国際ジャーナルに投稿中である。次年度は予定通りレジリエンス・トレーニングの実証研究を実施するため、倫理審査申請中である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度の調査結果をもとに、平成29年度は高齢者に対してレジリエンス・トレーニングを行い、心身両面への効果を調べる。対象者をレジリエンス・トレーニング群とコントロール群にランダムに割付け介入効果を明らかにする。さらに、この結果を分析してレジリエンス・トレーニングのプログラムを作成する。
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Causes of Carryover |
学会の開催場所が近かったため旅費が発生しなかった。29年度の介入研究(レジリエンストレーニング)に資格を持ったインストラクターを雇用する予定である。そのため、謝金経費を確保する必要があり、助成金を次年度に繰り越した。また、生理的データを取るための機器を追加する予定であるため助成金を次年度に繰り越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
レジリエンス・トレーニング(介入計画)に資格のあるインストラクターを雇用する。海外で開催される国際学会で報告する。生理的データを採取するため機器を購入する。
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