2017 Fiscal Year Research-status Report
他害行為を行った精神障がい者の評価,治療,社会復帰支援における看護師の役割
Project/Area Number |
16K12240
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
美濃 由紀子 東京医科歯科大学, 医学部, 准教授 (50318002)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮本 眞巳 亀田医療大学, 看護学部, 教授 (30209952)
田上 美千佳 東京医科歯科大学, 大学院保健衛生学研究科, 教授 (70227247)
岡田 幸之 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (40282769)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 司法精神医学 / 司法精神看護学 / 医療観察法 / 指定入院医療機関 / 指定通院医療機関 / 多職種チーム医療 / 大学院教育 / 精神看護学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、他害行為を行った精神障がい者の評価、治療、社会復帰支援における看護師の役割の明確化を図り、精神科医療の質向上のための具体策を提案すること、および司法精神医療を担う看護職の育成と司法精神看護学教育の方向性について示唆を得ることを目的としている。 今年度は、昨年度の検討結果から明らかになった4つのサブテーマ「日本における医療観察法対象者に対する治療・評価・社会復帰支援」、「日本における司法精神医学・司法精神看護学教育の方向性」、「日本と欧米諸国と司法精神医療教育体制の違い」、「司法精神医療制度の国際比較」について、今後の課題や方向性についての討議と文献検討を行った。その結果、日本の医療観察法の目的の1つである、他害行為を行った精神障がい者への評価、治療、社会復帰支援のノウハウを一般精神医療へ還元するという重要な課題への認識が、司法精神医療の分野においても一般精神医療の分野においても十分浸透していないことが明らかとなった。このことから、司法精神医療で行われているケアの実態を明らかにすることを通じた啓発の必要性と、より広い対象への司法精神看護学教育の必要性が示唆された。また、司法精神医療制度や司法精神医療の専門教育体制は、国による違いが大きく、欧米諸国における司法精神看護学教育における違いと他害行為を行った精神障がい者の看護師の役割についての詳細な比較実態調査の必要性が示唆された。 成果発表としては、分担研究者らによる専門誌における特集(犯罪・非行臨床を学ぼう)「医療観察法の医療 刑事司法から一般精神医療への流れをつくり対象者と社会をつなぐ」があげられ、このことは上記の啓発活動の一環として位置づけられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は、扱う4つのサブテーマに関するより詳細で具体的な検討ができたことは、成果であったと考える。しかし、他害行為を行った精神障がい者の治療施設は、セキュリティの面からも視察や実態調査の受け入れのハードルが高く、対象施設との調整に時間を要していることが、現在の進捗状況の要因であると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては、国内外の実態調査を通して、他害行為を行った精神障がい者の評価、治療、社会復帰支援における看護師の役割の明確化を図り、精神科医療の質向上のための具体策を提案したい。また、欧米諸国の司法精神医療に従事している看護師や大学教員との情報交換やインタビューを進めていくことで、多職種チーム医療という視点から司法精神医学教育との連携を図りながら、司法精神医療を担う看護職の育成と司法精神看護学教育の方向性について示唆を得ていきたい。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、実態調査の進捗がやや遅れていることがあげられる。次年度使用計画としては、実態調査のための必要物品の購入・旅費、研究データ整理等の人件費等に充当する予定である。司法精神医療施設、司法精神医学・看護学の教育機関への視察、研究者との情報交換やインタビュー調査を行う予定である。
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