2019 Fiscal Year Research-status Report
子ども虐待防止へのオープンダイアローグの有効性を測る
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16K12304
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
門間 晶子 名古屋市立大学, 大学院看護学研究科, 教授 (20224561)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅野 みどり 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 教授 (30257604)
細川 陸也 名古屋市立大学, 大学院看護学研究科, 助教 (70735464)
野村 直樹 名古屋市立大学, 大学院人間文化研究科, 教授 (80264745)
山本 真実 浜松医科大学, 看護学部, 准教授(移行) (90710335)
佐藤 博文 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 臨床研究医 (60813178)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | オープンダイアローグ / 子ども虐待予防 / 家族支援 / 子育て支援 / ナラティヴ / 地域看護学 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)オープンダイアローグの研修、実践:児童相談所での研究的取り組みについては専門雑誌に投稿中であるが、先方の都合により、令和元年度は研修会が実施できなかった。それ以外のフィールドでオープンダイアローグ(以下、OD)に関する研究会の開催や啓発活動を実施した。具体的には研究者らが所属する学会活動としてODの基礎と実践の演習(7月)、所属学会の学術集会の交流集会にて(8月)、妊産婦の支援に携わる看護職者を対象に(10月)、大学主催のセミナーにて(12月)実施した。また研究仲間らと東海地方でダイアローグを学ぶ会を発足し、問題意識を共有する実践者・研究者仲間と懇親を深めることができた(12月、2月)。ODの実践に関しては、研究協力者である児童福祉司が担当する親子とその支援者にODを用いた家族面談を行うことの了解を得て、実施の予定であったが、新型コロナウイルス感染症の影響を向けて研究活動を自粛せざるを得ない状況となり、進展できていない。 2)対話・ダイアローグに関する文献検討:看護における対話やダイアローグに関する研究や実践の現状・課題を明らかにするために、平成29年度に実施した文献検討を発展させ、追加の文献をシステマティックに集めて検討した。医学中央雑誌web版にて「ダイアローグ」に関するキーワードと対人支援領域(看護・医療・福祉・心理)を示すキーワードによる論文を検出し、対人支援におけるダイアローグの現状と動向、課題を明らかにした(学会発表・論文投稿予定)。 3)子ども虐待予防・対応に関わる専門職者の「対話」実践の実態:研究進捗の中で必要性を感じて追加の研究倫理審査を経て実施した。保健師や児童福祉司などの子育て支援・子ども虐待予防に関わる援助職者を対象にインタビューを行い、質的に分析し、支援における対話に焦点を当て、困っている点や工夫点などを明らかにした(学会発表・論文投稿予定)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究協力機関の開拓、関係づくりに取り組む中で、ODを活動に取り入れようとする実践者に出会うなどの手ごたえを得つつあるが、子育て支援や子ども虐待予防に特化した領域の研究協力者は限られてくる。また、【準備・トレーニング期】から【実践期】への移行が難しく、公務員である児童相談所職員が異動によって継続的に関われなくなるという難しさもある。対話・ダイアローグの文献検討や支援者へのデータ収集は実施でき、学会発表と論文投稿を予定しているが、子育て中の家族に対するODの実践やそのデータ収集には到達できなかった。研究協力者である児童福祉司から親子とその支援者を紹介され、ODの実践に関しての打ち合わせができたが、その直後に新型コロナウイルス感染症の影響等を受けて、実施には至っていない。また、研究協力者である里親会メンバーとともに、里親支援にODをどのように活かすのかについて検討中であるが、これも新型コロナウイルス感染症のために、里親の集まり自体が休止している状態である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は子育て中の家族と共にODを実践し、参加した人々からフィードバックをもらう機会を得たい。そのためには、これまでの児童福祉司や保健師などの支援者とのつながりを継続し、粘り強く機会を待つことが必要である。その一方で、児相職員や保健師の受け持ち家族というような、研究者にとって直接働きかけにくい家族だけではなく、研究者がアクセス可能な研究協力者も視野に入れる。フィールドと対象を拡大し、OD実践の可能性を探る必要がある。 その際、研究開始当初イメージしていた子ども虐待などの危機的な状況での対話としてのODという捉え方だけではなく、子育て支援における対話・ダイアローグを豊かにしうるものとしてのOD(ポピュレーションアプローチとしてのOD)の可能性を探ることにもなる。このことは、子育て支援と子ども虐待予防の連続性という特性や、一見元気そうに子育てをしている人たちの間にある、語られにくい、表出しにくい感情を安心して語る場を大事にすることこそ求められているという子育て支援の特徴とも関係すると考える。 加えて、今回の新型コロナウイルス感染症の影響として子どもへの虐待リスクの増加が危惧されている点についても考慮し、データ収集していけるような研究を計画する。そうすることで、人との接触のありようなど新しい生活様式が求められる中での子育て支援の提案につながると考える。具体的に検討中のフィールドは以下のとおりである。 1)里親会メンバーとともに、里親支援としてのODのあり方を検討して実践する。2)看護職者対象の研修会において、家族支援のあり方の一つとしてのODを紹介し、研究仲間を募る。3)看護系学会の活動の一環として、講演会のテーマとしてODを取り上げ、協働できる機関や専門職者を探す。4)子育て支援センターの講座を活用して、子育てに悩みを持つ親たちに働きかける。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染症の影響を受けて、2020年2月~3月に開催・参加予定であったセミナーおよび研究活動が中止となったため。
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Research Products
(5 results)