2019 Fiscal Year Research-status Report
地域在住女性高齢者における便失禁予防・改善に向けた包括的排泄ケアプログラムの開発
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16K12351
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
中田 晴美 昭和大学, 保健医療学部, 准教授 (90385469)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 便失禁 / 介護予防 / 地域在住女性高齢者 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、地域在住女性高齢者における便失禁の現状を把握した上で、便失禁・予防改善にむけた包括的排泄ケアプログラムの開発を行うことを目的としている。 地域在住女性高齢者における便失禁の実態を把握するため、2019年度も引き続き調査を実施した。A市で開催された尿失禁予防講演会において無記名式質問紙調査を実施したところ、50名(平均年齢73.6歳、回収率87.7%)から回答を得られた。「これまでに尿失禁の経験があるか」という質問に対し、「ある」と回答した者は、38名(76.0%)と高い割合であった。また、尿失禁の症状として「くしゃみをした時」、「咳をした時」といった腹圧性尿失禁の症状が多くを占め、「トイレに行こうと思った瞬間」、「トイレに間に合わない」といった切迫性尿失禁の症状が次に多かった。加えて、「過去1年間での便失禁の経験があるか」という項目について、「経験あり」と回答したのは14名(28.0%)であり、うち12名(31.6%)は尿失禁と便失禁の症状をあわせ持つ、Double Incontinenceの状態にあった。この結果は、Double Incontinenceに関する先行研究よりも高い割合であった。これまで、特に女性高齢者における加齢に伴う骨盤底筋の脆弱化により、腹圧性尿失禁や骨盤臓器脱などのトラブルが多く発症することが指摘されているが、さらに便失禁についても今後対策を講じる必要性が高いことが示唆された。また、尿失禁については、近年では多くの情報が女性高齢者に提供される機会が増えてきているが、Double Incontinenceで悩んでいる女性高齢者が多いことが明らかとなったため、包括的に排泄ケアについて周知していく必要があると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究は、地域在住高齢女性における便失禁の現状を把握し、便失禁予防・改善にむけた包括的排泄ケアプログラムの開発を行うことを目的としている。今年度は、便失禁発症に関連する要因の分析と、便失禁が女性高齢者のQOLに与える影響及び、対処行動について概念枠組みを行っていく計画であったが、対象者数の確保ができなかったため、引き続き便失禁実態把握のための調査を行った。地域在住女性高齢者における便失禁経験者の元々の対象者数が少数であるため、毎年少しずつ事例を積み重ねてきている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究への協力が得られた自治体職員より、地域の地区組織活動団体(保健活動推進員、食生活改善推進員、婦人会 等)を紹介していただき、対象者への質問紙表の配付、およびインタビュー調査を2020年度に開始予定である。さらに、これまで同様、尿失禁予防講演会に参加している地域在住高齢女性は、排泄障害に関する関心が高く、かつ、これまでの 実態調査の結果から、尿失禁と便失禁の両方をあわせ持つ、Double Incontinence対象者も多くいることから、引き続き、各自治体で開催する尿失禁予防講演会参加者に対し、同様の依頼を行い対象者数を増やす計画である。加えて、質問紙調査に回答し研究参加への同意を得られた者に対しインタビュー調査を行うことで、便失禁の発症に関連する要因分析、便失禁が女性高齢者のQOLに与える影響及び、対処行動について概念枠組みを行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
本研究への協力が得られる自治体が限られており、さらに研究対象者を便失禁を有する女性高齢者としているために症例数が少なく、研究対象者数を確保するのに時間を要している。そのため、次年度も引き続き質問紙調査の郵送費、インタビュー調査対象者への謝礼、インタビュー調査データの逐語録作成および質問紙調査データ入力作業補助のための補助員謝礼、調査のための研究代表者交通費、消耗品等を研究を遂行するための主な費目として使用する予定である。
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