2020 Fiscal Year Research-status Report
地域在住女性高齢者における便失禁予防・改善に向けた包括的排泄ケアプログラムの開発
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16K12351
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
中田 晴美 昭和大学, 保健医療学部, 准教授 (90385469)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 便失禁 / 介護予防 / 地域在住高齢女性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、地域在住女性高齢者における便失禁の現状を把握した上で、便失禁・予防改善にむけた包括的排泄ケアプログラムの開発を行うことを目的としている。 これまで、本研究を進めてきたが便失禁の症例が少なく、事例を確保することが困難であること、また、現在の新型コロナウイルス感染拡大により研究実施が非常に困難な状況にあるため、2020年度も引き続き便失禁実態調査を行った。A市で開催された尿失禁予防講演会参加者48名に対する無記名式質問紙調査を実施したところ、「これまでに尿失禁の経験があるか」という質問に対し、「ある」と回答した者は40名(83.3%)と高い割合であった。また、尿失禁の種類として腹圧性尿失禁の症状が多くを占め、次いで切迫性尿失禁の症状を有する者が多かった(複数回答)。加えて、「過去1年間での便失禁の経験があるか」という項目について、「経験あり」と回答したのは11名(22.9%)であり、尿失禁と便失禁の症状をあわせ持つ、Double Incontinenceの状態にあった。この結果は、これまでの本研究の結果同様、Double Incontinenceに関する先行研究よりも高い割合であった。さらに、3密を避けた新しい生活様式化の影響により、「自宅にいる時間が増えたことで、排泄トラブルをこれまで以上に意識する頻度が増えてしまった。」「運動する機会が減ってから、排便のサイクルが変わってしまった。」「体を動かさなくなったことで、下肢筋力が弱ったようだ。」といったように、コロナ禍による排泄トラブルへの影響が出始めていることも確認された。そのため、引き続きコロナ禍の影響も踏まえた排泄トラブルの実態の把握と、新しい生活様式化における包括的排泄ケアプログラムの開発を行う必要があると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究は、地域在住高齢女性における便失禁の現状を把握し、便失禁予防・改善にむけた包括的排泄ケアプログラムの開発を行うことを目的としている。 本研究を進める上で、元々、地域在住女性高齢者における便失禁者の事例が少ないため、毎年事例を積み重ねてきていたが、2020年度中に新型コロナウイルス感染対策の一環として緊急事態宣言が発令されたこと、また、宣言解除後の期間もこれまでのような対面型の調査の受け入れが困難な状況が続いたため研究遂行にさらなる遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度中に、地域の地区組織活動団体参加者への質問紙票の配付、およびインタビュー調査の承諾を得られているものの、2回目の緊急事態宣言発令により延期となっているため、感染拡大状況を見ながら、調査を再開する予定である。さらに、コロナ禍により従来の参集・対面型での調査が困難な状況にあるため、質問紙票の郵送方式と同意が得られた方に対するICTを活用したオンラインでのインタビュー調査を導入していく。これらの調査から得られた情報を基に、便失禁の発症に関連する要因分析、便失禁が女性高齢者のQOLに与える影響及び、対処行動について概念枠組みを行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
研究対象者を便失禁を有する地域在住女性高齢者としているために症例数が少なく、研究対象者数を確保するのに時間を要していることに加え、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、対象者との接触が制限され、研究遂行に遅れが生じている。そのため、次年度も引き続き質問紙調査の郵送費、インタビュー調査対象者への謝礼、インタビュー調査データの逐語録作成および質問紙調査データ入力作業補助のための補助員謝礼、調査のための研究代表者交通費、消耗品等を研究を遂行するための主な費目として使用する予定である。
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