2016 Fiscal Year Research-status Report
ラオス伝統的民謡を活用したヘルスプロモーションモデルのタイ肝吸虫症対策への応用
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16K12358
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Research Institution | Yasuda Women's University |
Principal Investigator |
吉田 いつこ 安田女子大学, 看護学部, 准教授 (90635088)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀江 修 天理医療大学, 医療学部, 准教授 (50304118)
楾 清美 天理医療大学, 医療学部, 特別研究員 (50774246) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | タイ肝吸虫症 / 伝統的民謡 / 健康教育 / ラオ人民共和国 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、タイ肝吸虫症対策のために、伝統的民謡「ラム」を活用した健康教育教材を開発し、その教材がどのように地域住民のタイ肝吸虫感染予防に関する知識、関心、信念を変化させ予防行動起こさせるのか検証することである。初年度である平成28年度に計画していた活動内容は、①教材開発、②フィールドテスト、③対象地域の選定と調整、④ベースライン調査であった。教材開発に関しては、研究協力者であるラオス国立芸術大学校講師Ms. Viengphu Nunimと彼女が所有する伝統芸能団の協力を得て、2種類の教材が完成した。一つは、タイ肝吸虫感染予防に関する知識を伝統的民謡「ラム」で謡った音曲のみの教材、もう一つは、タイ肝吸虫感染が原因で死亡した男性の物語を謡い、それに動画をつけた視聴覚教材である。これらの教材は、平成28年5月から8月までに2度にわたりフィールドテストを行ない、改良を重ねた。また介入方法を検討するために、実験的に2つの村に教材を配布し、活用してもらった。その結果、村のリーダーの意識が高ければ定期的に、しかも6ヵ月間継続的に教育活動が行えることが実証された。また、そういった教育活動の恩恵を受けた住民たちの変化としてタイ肝吸虫感染の予防に対して関心が高まり、定期的な治療の必要性が認識されたことが確認された。このことから、開発した教材の有効性は確認できたが、教育活動を継続的に維持するためのモニタリング方法を検討する必要性があることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
教材の開発、フィールドテスト、対象地域の選定と調整は当初の計画通り行えているが、ベースライン調査が年度内にできず、平成29年度に実施することになった。また、現地は雨期になると対象村へのアクセスが悪いため、雨量の少ない時期に介入を始める必要性が出てきた。そのため、全体の計画を約6か月程度ずらすことにした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、対象地域にてベースライン調査として住民のタイ肝吸虫感染に関する知識・関心・魚料理の調理法・生魚の摂取頻度・トイレの使用状況・保健医療機関への受信行動などに関する質問し調査を行い、その後、介入群にて開発した教材を活用した介入を開始する。 当初の計画では、検便を行い、寄生虫感染が陽性の者には駆虫薬を投与することを計画していた。しかし、現地の保健局から90%以上の住民が寄生虫感染している状況にあるなかで2村だけに検便や駆虫薬の配布を行うような活動は避けてほしいという要望があったため、検便や駆虫薬の配布は今回は行わず、対象村を10村(介入群5村、対照群5村)として研究活動を行うことにした。
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Causes of Carryover |
当初、ベースライン調査を平成29年3月に実施することを計画していたが、それを平成29年度に実施することとしたため、それに必要と見込まれていた費用が年度内に使用することができなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度にベースライン調査を含む介入研究を実施する。そのための経費に使用する。
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