2018 Fiscal Year Research-status Report
南海トラフ地震における事前復興政策の官民協働に関する経済分析
Project/Area Number |
16K12374
|
Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
内藤 徹 同志社大学, 商学部, 教授 (90309732)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 光 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 教授 (10313967)
伊ヶ崎 大理 日本女子大学, 家政学部, 教授 (10336068)
福山 博文 鹿児島大学, 法文教育学域法文学系, 准教授 (40409537)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 災害リスク / 人口移動 / 地方政府 / 意思決定 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度は,これまでの研究成果の公刊を中心に行った.研究代表者である内藤は,4報の論文をSRSA(フィラデルフィア),KAAE(ソウル),WEAI(バンクーバー),NARSC(サンアントニオ),ANZRSAI(キャンベラ)の5つの国際会議で報告を行い,また別の2報については,日本応用経済学会および日本地域学会で報告を行った.報告内容は,将来的な不確実性を考慮したときの動学分析を行っており,本研究課題の分析目標の1つである,不確実な将来を加味した場合,政府が最適な政策をとるためには,持続可能な経済成長を踏まえた政策が必要である.災害等のリスクが存在する場合,それを見据えて政策を行った際,資本や医療機関など従来の生活に必要な施設の偏在を招く可能性がある(特定の都市・地域への一極集中)ことを示した.また分担者の小川も5報の論文の公刊とWEAI,日本応用経済学会での報告をおこなっている.小川は地方公共団体におけるBCP策定の動向に着目し,そのリスクに応じて地域間格差が存在することを明らかにした.分担者の伊ヶ崎もANZRSAIで出生行動と地域間の集積について報告を行い,その研究成果の一部は伊ヶ崎大理 「自然災害が長期的な経済成長に及ぼす影響についての一考察」として,秋本耕二、永星浩一、秋山優 (編)『理論経済学の新潮流』勁草書房に収録されている.また,災害等のリスクと社会保障の政策の相互依存については,Omori and Naito(2018)``Optimal Policy for Social and National Security"をディスカッションペーパーとして公刊しており,来年度中に,しかるべき欧文査読誌に投稿を行いその評価を受ける予定である.分担者の福山についても最終年度に向けて研究成果の公刊を準備中である.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は昨年度と比較して,国際会議および国内学会での研究成果の報告については増加したが,公刊については若干減少した.これは研究論文の投稿の時期的な問題である.研究代表者および分担者が本申請研究の助成金によって国際会議および国内会議での研究論文の報告は既に20報以上に到達している.また公刊論文については,査読付き欧文査読誌および書籍等においてやはり20報以上の研究論文が公刊されている.その点を鑑みると,今年度はの論文公刊が例年よりも少ないため,自己点検では,「おおむね順調に進展している」の評価を行っている.また,研究計画で記載していたGISを用いた研究については,公刊につながっておらず若干の研究の遅れが生じている.しかしながら既にデータ収集は終了しているため,これについては,早急に学会報告および投稿等を行い学術的な評価をうける予定である.しかしながら,一部の研究成果については若干の遅れが生じているが,すでに本助成金による研究成果は2017年の日本地域学会学術論文賞という形で一部が結実しているため,概ね順調である.申請書に記載した通り,南海トラフ地震の事前復興に関する関心は非常に高いため,これらの知見をより多く知ってもらうためには研究会やカンファレンス等を行って行く必要があるが,これは最終年度に行う予定にしているため,今年度はその報告の準備として位置付けている.
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度は,計画書に記載の通り,これまでの研究成果を国際会議および国内学会において報告を行い,昨年同様,査読付きの専門誌に投稿を行って行く.また,本研究課題の計画書に記載通り,南海トラフ地震の事前復興政策に関する知見は,研究者の間にとどめられるべきものではないので,災害等のシンポジウム等において積極的にその知見の公開を図っていく予定である.特に最終年度には,カンファレンスを開催するための予算を計上しているため,この予算を利用してこれまでの研究成果を社会に還元していく予定である. また,一義的にはこれらの研究成果は欧文査読誌および然るべき国際会議において報告・公刊することであるため,今年度公刊に至らなかった論文についても適宜修正を加え,学術的な評価を得る予定である. なお,既述したようにGISを用いた研究成果については,若干遅れが生じているため,完成年度である今年度はこのカテゴリーにおける研究を集中的に実施する予定である.
|
Causes of Carryover |
報告予定であった国際会議があったが,研究代表者の体調不良のため,報告申し込みを行わなかったため,その分の旅費が翌年度に繰り越しとなった.しかしながら,当該報告は7月に行われるWEAIで報告するために使用する.報告自体はすでに決定しているため,確実に執行できる予定である.
|