2016 Fiscal Year Research-status Report
脳内身体マップに基づく手指運動能力の個人差の解明および介入法の開発
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16K12440
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小川 健二 北海道大学, 文学研究科, 准教授 (50586021)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 脳機能イメージング / 感覚運動野 |
Outline of Annual Research Achievements |
まず初年度の研究として、機能的核磁気共鳴画像法(fMRI)を用いて個々の指に対応する感覚運動野マップの特定を行った。実験では健常被験者が画面の数字のカウントダウンに合わせ、人差し指、中指、薬指、小指でそれぞれ繰返しタッピングを行った。そして、各指運動の実行時における脳活動をfMRIで計測し、その活動ピーク位置を特定するとともに、活動の空間パターンに対する検討をマルチボクセルパターン分析を用いて行った。具体的にはfMRIデータに対し、Representational Similarity Analysis (RSA)(Kriegeskorte, 2008, Front Neurosci)と呼ばれる方法を用いた。これはfMRIの空間的な脳活動パターンの類似性(相関係数)を基にして、ある脳内の神経表象における類似性(representational similarity)を求める方法である。その結果、近い指同士(例えば、人差し指と中指)の方が遠い指同士(例えば、人差し指と小指)よりも活動パターンの相関が高いという結果が得られた。この結果から、RSAを使って指の神経表象の類似性を検討することが可能である点が示された。また実際に運動を行わず、指タッピングの運動イメージを作っている際の脳活動を計測した。そして運動イメージ時の脳活動に対してもマルチボクセルパターン分析を用いることで、運動実行中と類似した脳活動パターンが見られることが明らかとなった。これら一連の研究結果から、fMRIの活動パターン分析を用いて、各指の実行やイメージに関する神経表象を詳細に解析することが可能である点が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マルチボクセルパターン分析を用いて個々の指の運動実行時、および運動イメージ時の脳内マップを得ることが可能であることを示すことができた点で、順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度には、昨年度に示された個々の指の脳内マップと運動パフォーマンスや感覚能力との個人差との対応を検討する予定である。さらにニューロフィードバックを用いた脳活動の制御についても実施する予定である。
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Causes of Carryover |
昨年度は、新たなfMRI分析方法に対する検討に時間を費やした結果、実験のためのfMRI装置使用料や被験者謝礼等が少なくなったため、次年度使用額が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
fMRI装置使用料や被験者謝礼といった実験のための経費として使用する予定である。
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Research Products
(10 results)