2016 Fiscal Year Research-status Report
人には存在しない下肢の筋肉部位への人工筋装着による足先出力特性への影響
Project/Area Number |
16K12481
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
上杉 繁 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (80350461)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川上 泰雄 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 教授 (60234027)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ヒューマンインタフェース / 人間工学 / 二関節筋 / ウェアラブルロボット / 出力特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
高負荷作業を支援する身体装着型ロボットの多くは,大きな力を発揮する一関節筋の機能に基づいて設計されている.一方本研究では,拮抗する複数の筋肉の協調により,力の伝達方向調整や外力に対する姿勢維持などの機能を実現する,2つの関節に跨って位置している二関節筋に着目する.そこで,有蹄類には存在するが人には存在していない,腓腹筋と拮抗関係にある脛前面の部位に人工筋を装着し,それによる足先出力への影響を調査する. 平成28年度においては,足関節と膝関節を跨ぐように装着する人工筋により力を付与した際の,足先で発揮する力,ならびに外部から力を加えた際の足先位置の変化のしにくさを調査する実験システムの開発に取り組んだ.主に,制御可能な牽引力を付与する人工筋アクチュエータ,所定の位置に各関節を固定するための足・膝関節角度調節機構,そして足先に外部から力を与える機構を開発した. 人工筋アクチュエータにおいては,静的状態における実験を想定していることから,ギヤドモータの軸に取り付けたボールねじにより回転運動を直線運動に変換し,ワイヤを介して張力を下肢に伝達する機構を構築した.なおワイヤと身体への締結ユニットとの間には張力制御用のロードセルを組み込んだ.そして足・膝関節角度調節機構においては,各回転軸周辺の構造材に一定間隔で穴を開け,そこにピンを差し込むことで容易な関節角度の調節を可能とした.足先位置には,足先の力の大きさと方向を計測する6軸力センサを組み込めるようにした.また,外力付与機構は,ギヤドモータの回転軸に取り付けたドラムにワイヤを巻きつけることで,ワイヤを牽引して足先に外力を付与する仕組みとし,プーリ位置を変更することで牽引角度を調節可能とした. 以上により,人工筋装着による足先出力特性への影響を調査するための,実験システムの基本構造を構築した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
有蹄類には存在するが人には存在していない下肢部位に人工筋を装着することで,A.足先で発揮する力の大きさと方向への影響と,B.足先への外力付与による足先位置の変位のしにくさ(剛性)への影響を明らかにし,C.アクチュエータ出力,足・膝関節角度,足先出力の関係モデルを構築して,新たな動作支援の方法を示すことが本研究のねらいである. 当初の計画では,平成28年度は上述したAの課題,平成29年度はB,Cの課題と分けて進める基本方針であったが,A,Bの課題で共通する実験システムの開発が順調に進んだことから,Bの課題で使用する実験システムも平成28年度において先んじて開発することにした.Aの課題における人を対象とした主たる実験は平成29年度に実施するものの,実験デザインの検討は進んでおり,また平成29年度に開発予定であった実験システムも概ね構築できていることから,順調に進んでいるといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度に構築した実験システムを利用して,人工筋アクチュエータの張力付与により,①足先で発揮する力の大きさと方向への影響を調査する実験,また,②足先への外力付与による足先位置の変位のしにくさへの影響を調査する実験を実施する.人を対象とした実験をより円滑に進めるため,ユーザビリティを考慮した実験システムへの改善をはじめに行い,予備実験により各種条件を明らかにした上で実施する予定である.そして,これらの実験によって得られる,人工筋アクチュエータの張力,付与する外力,足・膝関節角度,筋活動量,足先の力,足先の変位量の関係を,一関節筋・二関節筋それぞれの拮抗関係を考慮した筋構造配列モデルを参照して整理し,足先出力特性モデルの構築に取り組む.また,本研究に関する成果に関し学会発表を行う予定である.
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Causes of Carryover |
当初の年度交付額では,使用予定のセンサシステムの購入が困難であったため前倒し支払いの手続きを行った.一方で,実験システムの開発に関し,外注を予定していたいくつかの部品加工が自らできたため発注せずに済み,残額が発生した.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
人を対象とした実験をより円滑に進めるため,ユーザビリティを考慮した実験システムへの改善に使用する.
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