2016 Fiscal Year Research-status Report
窒素浄化に対するアナモックス反応の寄与に関する研究
Project/Area Number |
16K12584
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
清家 泰 島根大学, 総合理工学研究科, 教授 (30243421)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
管原 庄吾 島根大学, 総合理工学研究科, 助教 (30721302)
半田 真 島根大学, 総合理工学研究科, 教授 (70208700)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | アナモックス反応 / 中間体 / ヒドロキシルアミン / ヒドラジン / 定量法の開発 / 汽水湖 / エスチュアリー |
Outline of Annual Research Achievements |
新たな窒素循環プロセスであるアナモックス反応に関する研究を行った。アナモックス反応とは,ヒドロキシルアミンとアンモニアが反応してヒドラジンを形成した後,最終的に分子状窒素に変換され系外に放出するというもので,これまでの硝化-脱窒による窒素浄化とは異なる,新たな窒素浄化プロセスである。初年度の研究では,ヒドロキシルアミンとヒドラジンが中間体という性質上不安定なため環境水に適用可能な優れた定量方法がなかったことから,それらの定量法を開発し論文化した。ヒドラジン(1)はAnalytical Sciencesに掲載済みでヒドロキシルアミン(2)は同じくAnalytical Sciencesに受理され掲載待ちである。 また,開発した両定量法を用いて,汽水湖中海を対象に調査研究を進め,ヒドロキシルアミンとヒドラジンが同時に観測されたことにより,これまで一般的な脱窒による窒素除去のみしか考えられていなかった中海で,アナモックス反応が起こっていることを確認した。さらに,中海では,夏季に海水の流入に伴う酸素供給と光阻害による亜硝酸イオンの蓄積を起点にアナモックス反応が生じていることを見出している。 1)Kato T., S. Sugahara, T. Kajitani, Y. Senga, M. Egawa, H. Kamiya, and Y. Seike (2017): Analytical sciences, 33:487-491. 2)Kato T., S. Sgahara, M. Murakami, Y. Senga, M. Egawa, H. Kamiya, K. Omata, and Y. Seike (2017): Analytical Sciences, in press.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H28年度は、①アナモックス反応の中間体であるヒドロキシルアミンとヒドラジンの定量法を論文化するとともに、②両定量法を用いて,汽水湖沼の中海においてアナモックス反応が起こっていること(定性分析)を確認した。③さらに,中海では,夏季に海水の流入に伴う酸素供給と光阻害による亜硝酸イオンの蓄積を起点にアナモックス反応が生じていることを見出している。このように、当初計画通りに順調に進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後,アセチレン阻害法を併用した培養実験によりアナモックス反応による窒素除去量の見積もり(定量分析)を行い検証する。 さらに,Fe(III)の直接定量法を開発する予定である。これまで,Feの吸光度定量はFe(II)としての定量であったが,Fe(III)の直接定量が可能となれば,現地の酸化還元状態を知る指標として有用となる。
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