2016 Fiscal Year Research-status Report
自動昇降型中層フロート観測情報を用いた海洋鉛直流の推定
Project/Area Number |
16K12591
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
吉田 聡 国立研究開発法人海洋研究開発機構, アプリケーションラボ, 研究員 (90392969)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | アルゴフロート / 爆弾低気圧 |
Outline of Annual Research Achievements |
連携研究者の海洋研究開発機構(JAMSTEC)細田滋毅グループリーダー代理との連携の下、イリジウム通信型中層フロート2台の投入を実施した。フロートは海上自衛隊の船舶により、平成28年9月26日に北緯38度、東経145度と北緯40度、東経145度の2地点にそれぞれ投入され、観測を開始した。フロートの浮上速度が9m/s程度であることから、最も高頻度で、6時間毎に650m深から海面まで浮上する際のプロファイル観測を計画した。また、プロファイル毎に衛星通信費が発生し、観測可能回数に予算上の制約があるため、海洋内に強い鉛直流が励起されることが期待される爆弾低気圧がフロート付近を通過したときのみ高頻度観測を実施することにした。このため、気象庁週間アンサンブル予報を元にした観測海域における爆弾低気圧発達の確率予測を行い、通常時は1日毎2000m深までの観測、爆弾低気圧の発達確率が高い場合には6時間毎650m深までの観測を行うよう衛星通信を通じてフロートの観測を制御した。2台のうち1台のフロートは爆弾低気圧発達時期である11月から3月の間、ほぼ6時間毎に表層から650m深までの圧力、水温、塩分の連続プロファイル観測を実施できた。しかしながら、もう1台のフロートは投入後すぐに本体の浮力調整機構に不具合が生じ、海面浮上時の通信に必要な浮力を維持することができなくなった。そこで海面浮上時間を長くして通信を完了させるため、常時1日毎の表層から2000m深までの観測に変更した。以上の特別集中観測により、東北沖から千島列島南沖にかけての北西太平洋域で延べ446回のプロファイルが得られ、そのうち19回で爆弾低気圧の通過を観測できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成28年9月から翌年3月までのアルゴフロート観測が実施でき、延べ446回の高頻度プロファイル観測データが得られ、爆弾低気圧下のデータも19回観測できた。しかし、2台中1台からは、フロートの浮力調整機構の不具合により、1日間隔の観測データしか得られなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度に投入したフロート1台の機器不具合により、予定より少なかった観測データを補うため、JAMSTECがPIとなっている65台のフロートのモニタリング情報から鉛直流を推定するアルゴリズムを開発する。特に、強い鉛直流の励起が期待される爆弾低気圧や台風の通過前後のプロファイルに焦点を絞り、開発を進めていく。
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Causes of Carryover |
フロートの浮力制御機構の不具合により、2台のうち1台で当初予定していた6時間毎の高頻度観測を行えなくなり、通信費が抑制されたことと、研究代表者の転籍に伴い、研究活動に十分な時間が取れなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度以降には観測の予定がなく、研究代表者の所属が横浜から連携研究者と異なる機関となったため、連携研究者との研究打ち合わせや成果発表のための出張旅費に使用する。
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Remarks |
報道発表:黒潮が爆弾低気圧を呼ぶ―黒潮が爆弾低気圧とジェット気流を変調する新たなメカニズムを提唱―(平成29年1月21日、海洋研究開発機構、北海道大学)
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Research Products
(22 results)