2016 Fiscal Year Research-status Report
光合成膜脂質合成経路を標的としたシアノバクテリア特異的阻害剤の開発
Project/Area Number |
16K12609
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
粟井 光一郎 静岡大学, 電子工学研究所, 准教授 (80431732)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 俊正 国立研究開発法人農業生物資源研究所, その他部局等, ユニット長 (40360458)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | シアノバクテリア / 糖脂質合成酵素 / 阻害剤 / ハイスループットスクリーニング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,シアノバクテリア特有の光合成膜脂質合成経路を阻害する化合物の開発を目的として,化合物ライブラリを用いたハイスループットスクリーニングの実施と結晶構造解析を基盤とした薬剤デザインを行い,リード化合物を選定することを計画した。申請当初は既にin vitroでの活性が確認されているシアノバクテリアSynechocystis sp. PCC 6803由来の糖脂質合成酵素(MgdA)を大腸菌で発現させ,ハイスループットスクリーニングに利用することを計画していたが,測定の結果SN比が低く,ハイスループットスクリーニングに利用するための低容量で安定して活性を検出することが難しいことがわかった。そこで,より高活性のMgdAを得るため,シアノバクテリア5種から合計6つのmgdA遺伝子を単離し,それぞれ大腸菌用の発現ベクターに組み込み,大腸菌膜での糖脂質合成活性(糖脂質の蓄積)を調べた。その結果,好熱性シアノバクテリアであるThermosynechococcus vulcanus由来のMgdAが,これまでのSynechocystis sp. PCC 6803由来のMgdAと比べ,およそ2倍の活性を示すことがわかった。現在,Thermosynechococcus vulcanus由来のMgdAを発現した大腸菌から膜画分を抽出し,それを用いた蛍光試薬での検出系の確立を行っている。これができ次第,早急にハイスループットスクリーニングを行い,シアノバクテリア特有の光合成膜脂質合成経路を特異的に阻害するシード化合物の選定を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究の当初は,すでに活性が確認できていたSynechocystis sp. PCC 6803由来のMgdAを用いたハイスループットスクリーニングを進めることを計画していたが,繰り返し測定を行った結果,安定して十分なSN比を示す活性を得ることが出来なかった。誘導剤の濃度や培養温度など,発現誘導の方法の検討を行ったが,顕著な改善が見られなかったことから,他のシアノバクテリアからオルソログを単離して,より活性が高いものを探索することとした。
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Strategy for Future Research Activity |
今回の結果より,好熱性シアノバクテリアであるThermosynechococcus vulcanus由来のMgdAが,これまでのSynechocystis sp. PCC 6803由来のMgdAと比べ,およそ2倍の活性を示すことがわかった。今後,この組換えタンパク質を用いてハイスループットスクリーニングを進める。また,今回高活性をもつことがわかったMgdAは好熱性バクテリア由来である。これまで,この株や近縁株から,多くのタンパク質の結晶構造が明らかとなってきた。研究計画でも記した通り,糖転移活性部位の結晶構造解析も計画していることから,この糖転移酵素の膜貫通部位を除いたコンストラクトを作成し,結晶構造解析にも利用したい。
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Causes of Carryover |
当該年度は,ハイスループットスクリーニングを開始する予定であったが,研究実績の概要に記載した通り,より活性の高い目的酵素の単離に注力したため実施できなかった。その分の予算を繰り越している。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当該年度の予定していたハイスループットスクリーニングに関係する試薬の購入,費用,旅費等に使用する。
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