2016 Fiscal Year Research-status Report
U型側溝等の極限水力の有効利用に向けたハンディタイプ水車の開発
Project/Area Number |
16K12654
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Research Institution | Oita National College of Technology |
Principal Investigator |
古川 明徳 大分工業高等専門学校, その他部局等, 校長 (30112410)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊川 裕規 大分工業高等専門学校, 機械工学科, 准教授 (70321528)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 流体工学 / 流体機械 / ピコ水力 / 側溝 / 浅水流 / ダリウス水車 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、規格化された側溝の流下水力エネルギーを対象に、小型・軽量で携帯も可能な高出力水車の開発をめざす。これまで没水型水車として開発してきた入口ノズル付きダリウス形水車の設計資料を基に、側溝水力利用の場合には非没水型になることを考慮して5枚のNACA0018対称翼で翼弦長と水車の回転半径との比0.4、翼スパン長150mm、回転直径150mmの水車を絞り角30度で入口幅が回転直径の0.8倍となる入口ノズル付き水車を試作し、側溝を模した幅400mm、高さ450mmの模型水路を用い、次の調査項目について試験した。(1)非没水型である水車の没水下での試験結果は、没水型水車で得られるべき性能より格段に低い値を示した。今後、構造設計の再考から議論したい。(2)水路傾斜角の影響については、水路傾斜角が約1度を超えると、水車上流側では「跳水」が生じることが確認された。そして、その跳水損失の見積もりにより「水路傾斜角による性能評価」が異なってくることが知られた。水車の性能試算上、跳水損失の評価法を明確にしておく必要がある。(3)流下流量の変化による影響については、低流量すなわち浅い水深ほど単位流量当たりの性能が良いことが知られた。これは水車構造と非没水型水車の没水状態の違いよるものと推察された。(4)非没水時の水車下流水深の影響については、当初より水車の一部が非没水状態となることを想定して設計されたためか、高出力・高効率となる最適非没水状態となる下流水深があるとの結果を得た。これは水車の作動原理(出力と損失発生のメカニズム)から論じておく必要があると判断している。側溝での使用を想定したハンディタイプの水車を試作調査し、出力所得は確認されたものの、水路の流れ状態に対する高出力・高効率化に向けた最適水車構造の提案とその設計法の確立については、これからの課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、側溝の極限水力を有効利用するべく、小型・軽量で携帯も可能な高出力水車の開発をめざしており、これまでの非没水型水車として高性能設計法を確立してきた堰き止め式入口ノズル付きダリウス水車のデータをもとに、非没水型水車を試作し、非没水型試作水車の没水時における性能評価、水路傾斜角・流下流量・下流水深の影響について調査し、高性能・高効率化に向けた、今後の研究展開に対する指針を得た。これらの結果を、次年度の研究に結び付ける。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究で明らかとなった(1)非没水型試作水車の没水状態での低性能の原因については、入口ノズルと水車間の漏れ、水車への流入状態等が推察され、水車構造から再考していく予定である。(2)傾斜水路に発生する水車上流の跳水に関しては、水車性能とは直接関係ないものの、実験と数値計算の両面から水路傾斜角と跳水損失との関係を明らかにし、見積もり精度の向上を図る。(3)流下流量および水車下流水深と性能の関係については、水車の作動原理と損失発生メカニズムと関連付けて考察し、高出力・高効率となる最適非没水状態のデータ取得に努める。そして、その結果をもとにハンディタイプ水車の構造を提案し、その性能を提示したい。
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Research Products
(2 results)