2017 Fiscal Year Research-status Report
越境する森林火災・煙害の社会的政治的な発生メカニズムの解明と防止策の検討
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16K12659
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
原田 一宏 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (00372087)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐山 浩 関西学院大学, 総合政策学部, 教授 (00600537)
市原 純 公益財団法人地球環境戦略研究機関, プログラム・マネージメント・オフィス, プログラムマネージャー (90393032)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 森林火災 / インドネシア / 煙害 / パーム油 / 紙・パルプ / アブラヤシ農園 / 政策 / NGO |
Outline of Annual Research Achievements |
小課題1に関しては、火災には企業による、紙パルプ用木材プランテーションの泥炭湿地での開発が影響しており、スマトラ島においては泥炭湿地での火災件数の約半数が企業の開発が行われている地域で発生していることが明らかになった。これにより引き起こされる湿地の乾燥化や、地域住民と開発を行う企業との土地紛争などが要因となり火災が発生していることが明らかになった。また2015年の大規模火災以前は地方行政や地域住民の情報伝達が不十分で、効果的な対策や消火活動が実施されていなかったことがわかった。 小課題2に関しては、森林火災・気候変動に関する法制度やその実施体制について把握することを目的とした。現地リアウ州での聞き取り調査からは、以前より法制度では火災を起こした際の罰則規定は存在していたが、ジョコウィ大統領の就任後、罰則規定の遵守が強化されており、および、その罰則規定の周知が県や村レベルでも盛んに実施されていること(さらに住民の意識や理解が向上していること)がわかった。 小課題3に関しては、森林火災と関連する輸入品(パーム油や紙など)が、国内の市場にどのように流通し、輸入品が国内に流通している現状を国内のNGOがどのように把握しているかを明らかにし、またパーム油等、森林火災と関連する輸入品に関する課題や問題点について、如何に普及啓発を進めていくかといったことにも関心が高いことがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
小課題1については、文献調査、インドネシアの行政やNGOへの聞き取り調査から、火災の要因となる企業の活動や日本に輸入される製品との関連性が明らかになり、行政としての法整備などについても分析を行っている。 小課題2については、行政における森林火災対策への強化が、国・県、村レベルで徐々に浸透していることがわかった。 小課題3については、森林火災と関連する輸入品の実態が明らかになった。
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Strategy for Future Research Activity |
小課題1および2については、両方をあわせて、1つの論文として投稿する準備を進めている。小課題3については、投稿論文もしくは、研究ノートとしてすでにまとめており、準備が整い次第投稿する予定である。 また、最終年度の主な推進方策としては、関連する国で小課題1~3の3年間の研究成果を公表するために、10月にインドネシアのガジャマダ大学にて、ガジャマダ大学との共催で、国際セミナーを開催する予定である。 さらに、小課題1と2については、引き続き、インドネシアでのフィールド調査を行い、地域住民の火災に対する意識の変化や行政としての火災対策について明らかにする。 小課題3については、流通の実態と併せてNGO等の関心事や活動についても把握していく予定である。 小課題4については、森林火災防止のための政策オプションについて検討する。
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Causes of Carryover |
小課題1の森林火災・煙害が毎年繰り返し発生する社会的政治的要因の把握に関して、地域住民の生業についての調査を実施することができなかった。
本年度は、森林火災・煙害に関連して、現地にて地域住民に対しての聞き取り調査を実施する予定である。
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