2018 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of social-political mechanism and preventive measures of transboundary forest fire and smoke damage
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16K12659
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
原田 一宏 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (00372087)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐山 浩 関西学院大学, 総合政策学部, 教授 (00600537)
市原 純 公益財団法人地球環境戦略研究機関, その他部局等, プログラムマネージャー (90393032)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 森林火災 / インドネシア / 煙害 / パーム油 / 紙・パルプ / アブラヤシ農園 / 政策 / NGO |
Outline of Annual Research Achievements |
小課題1に関しては、2014年の森林火災を経験し、村での火災管理への意識は向上し、様々な対策がとられるようになったが、村における変化は地域住民によって自主的に行われたというよりは、行政が働きかけたことで起きたものであった。現在ある地域での消火システムを構築し、維持し続けるためには行政の果たす役割が大きいことが明らかになった。 小課題2に関しては、森林火災・気候変動に関する法制度やその実施体制について、組織体制や制度運用の強化が、現地インタビューや質問票調査により確認された。また、気候変動対策については、プロジェクトレベルの緩和対策実施において、パラレルコスト規制や再生可能エネルギーの固定価格買取制度の改定などが障害になっていることを確認した。 小課題3に関しては、2013年にパーム油革新グループ(POIG))によるRSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)原則の厳格な運用等を目指した取組が開始されていることを把握した。また、グリーン購入ネットワークにおいては、RSPOの報告データに基づき、日本企業の認証パーム油の取組に関する評価(点数化)とリスト化が行われていることが明らかとなった。製品表示の観点からは、自社ブランドにおいてパーム油使用表示を進めている「イオン」が2020年度までにRSPO認証油の100%調達を目標として、2018年8月にRSPOへの加盟を申請しているほか、サラヤ等の企業をはじめ、2017年に日本の流通業としてRSPOに加盟した日本生活協同組合連合会が、取組を推進している現状を把握した。 以上の点を鑑み、地域住民による生計を維持しつつ、森林火災に対する意識を高めるような地域をベースとした森林火災対策は有効であり、その際には、中央・地方行政、NGOなどによる協働森林火災対策が不可欠であり、これらを満たすような森林火災防止のための政策オプションが有効であることが示唆された。
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