2016 Fiscal Year Research-status Report
中国の都市生活廃棄物適正処理と公衆参加に関する研究
Project/Area Number |
16K12664
|
Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
北川 秀樹 龍谷大学, 政策学部, 教授 (60360252)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
何 彦旻 京都大学, 経済研究所, 研究員 (10744021)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 都市生活廃棄物 / 公衆参加 / ごみ分別 |
Outline of Annual Research Achievements |
中国の都市生活廃棄物処理の実態を把握するため、上海市と成都市において現地調査を実施した。ごみ処理請負会社、民間団体等を訪問調査するとともに、両市で取り組んでいるグリーンアカウント(緑色帳戸)の実態を把握した。まず、2016年8月に研究代表者、分担者、連携研究者とともに上海市の請負会社、市政府を訪問、担当者にごみ処理の実態、処理プロセス、グリーンアカウントの運営実態についてインタビューした。また、2017年3月末に成都市のごみ処理請負会社、環境NGOの協力を得て、海外研究協力者とともに、ごみの分別や焼却処理などについて関係者にインタビューした。調査結果から、「有害ごみ」「生ごみ」「リサイクルごみ」「その他の汚れたごみ」の四分別が進捗していること、上海市では生ごみ、成都市では資源ごみ分別のため、グリーンアカウント制度が導入され協力した個人にはポイントが付与されることなどを確認した。 3月14-15日、龍谷大学において、中国から6名の研究者、NGO関係者を招聘して、「都市生活廃棄物に関する国際ワークショップ」を開催した。上海市、南京市、瀋陽市のごみ分別、処理の実態についての報告を聴取するとともに、台湾から3名の研究者、日本から有識者と行政関係者も招聘し、日本および台湾の諸都市と国際比較しながら中国のごみ処理の到達点と課題について意見交換した。本ワークショップを通じて、法制度による行政主導の進め方か、民間主導の進め方かいずれを選択すべきか、公衆参加の視点から住民の意識、行動の現状と課題の把握の必要性と評価など、今後の研究調査を遂行するにあたっての論点を明確にすることができた。 さらに、研究代表者、分担者は、その他の関係学会等で報告を行い、意見交換を通じ知見を深めた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
生活水準の向上とともに増大する都市生活廃棄物の処理は、中国において喫緊であるにもかかわらず敏感な問題であるため、処理責任のある政府関係者へのインタビューや焼却処理場の視察などはきわめて困難である。本研究では、これまで研究代表者が築き上げてきた研究ネットワークを活用し関係者の協力の下、これらに関する調査を一定程度実施することができ、現状をおおむね把握できた。
|
Strategy for Future Research Activity |
2017年3月18日、国務院弁公庁は、国家発展改革委員会と住房城郷建設部が定めた「生活ごみ分類実施方案」を全国の省、自治区、直轄市等に通知し、分別の実施を要請した。この通知では、2020年末までに基本的な法制度を整備し、直轄市などの主要都市とモデル都市において回収利用率35%以上を達成することを目標に、有害ごみ、生ごみ、リサイクルごみの強制的な分別の実施を定めている。今後はまず、本通知の背景、モデル都市の現状などを把握するため、必要に応じ現地調査を実施する。また、公衆参加の視点から海外研究協力者の協力を得て、ごみの分別、適正処理が比較的遅れた段階にある遼寧省瀋陽市等の住民意識調査を実施する。
|
Causes of Carryover |
現地関係者による円卓会議を実施する予定であったが、現地の事情から困難であることが判明した。このため、意識調査に変更することとしたが、中国側研究協力者との調整など準備が順調に進まなかったため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度、いくつかの都市を選定して住民調査を実施する予定。
|
Research Products
(4 results)