2017 Fiscal Year Research-status Report
糖尿病の3次元血管障害予防・改善因子による画期的栄養サポートの開発
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16K12732
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Research Institution | Nagoya Women's University |
Principal Investigator |
近藤 浩代 名古屋女子大学, 家政学部, 准教授 (50333183)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石原 昭彦 京都大学, 人間・環境学研究科, 教授 (90184548)
藤野 英己 神戸大学, 保健学研究科, 教授 (20278998)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 糖尿病 / 血管 / 合併症 / 栄養 / 骨格筋 / 食品 |
Outline of Annual Research Achievements |
糖尿病は血糖コントロールの可否や長期化によって合併症をひきおこす. 合併症の原因の1つである血管障害は, 様々なQOLの低下や要介護, 寝たきりにつながる. 本研究は糖尿病の合併症予防のうち, 寝たきりの人や運動と併用して実施可能な, 食品栄養成分による血管病変を予防改善する方法の構築を目的とする. これまでの実験で, 慢性的な高血糖曝露は骨格筋のクエン酸シンターゼ(CS)活性の低下や毛細血管の退行を引き起こした.平成29年度は微小血管の改善を誘導する食品成分について多種類の成分を選択し, in vitroの実験系において血管安定化因子、血管増殖・血管増殖抑制因子等の調節系を作用機序別に分子レベルで探索した.さらに血管障害改善の食品成分の候補を絞り込み, その因子別にデータベースを作成し, これらをin vivoにおいてモデル動物に投与し, 微小血管への影響を中心に分子レベルで解析・検証している. その結果,抗酸化に関与する食品由来抽出物やある種の発酵食品抽出物から糖尿病性血管退行を抑制できる可能性があるデータを得た.当該年度では血管退行を抑制できる可能性がある現象が把握できたことから,血管新生因子やそのシグナル伝達の解析を実施し,作用機序の解明をする必要性があり,次年度に検討する計画である.食品由来成分の影響を分子レベルで検証し, さらにモデル動物における血管構造を可視化することにより検証し, エビデンスにもとづく糖尿病の血管障害予防・改善因子による栄養サポートの開発を行う予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までの進捗状況として, In vitro にて血管障害改善の食品成分の候補を絞り込み, その因子別にデータベースを作成し, 栄養サポート法を開発するために, 約150種類の食品等から成分を抽出した. また, 血管構造異常の改善効果を得るために, 血管障害時に発現量が変動するタンパク質とこれをコードする遺伝子について, in vitro, in vivo実験系を確立し, 解析を行っている. 血管内皮とそれを支持する骨格筋を用いて血管構築(血管安定化を促進・血管不安定化を抑制)に有効な因子, 血管新生因子の増加, 血管新生抑制因子の抑制について検出し, 食品由来成分の影響について培養細胞とモデル動物における検証を行っており, 概ね順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られてきた候補物質について別のパラメーターからさらに絞り込み, in vivoにおいて食品等由来成分の影響を実験・解析し, 特にそのメカニズムについて解析を推進する予定である. 特に血管構造異常に起因する微小循環の改善について多角的に検証する. このため, 三次元構造解析・生化学的・遺伝子発現分析を行う方策である. モデル動物はこれまでの研究で骨格筋と三次元血管構造の異常を発見した動物モデルを用いる. 血管構造は, 主に下肢において合併症の障害を検出するために, 主に遅筋で構成されるヒラメ筋, 速筋で構成される長趾伸筋を用いる. 各パラメータにおいて候補成分を数種類まで絞り込み, 経口投与した各種組織において, 特にタンパク・遺伝子発現, 3D解析を総合して, 糖化から引き起こされる酸化ストレスと血管構造について測定・解析を行う方策である.
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Causes of Carryover |
(理由) これまでに食品成分の探索を行ってきたなかで, 現在のパラメータからは候補として可能性が考えられる物質が多いため, 次年度に他のパラメータから解析し, in vivoに投与するための絞り込みを行う予定であり, この際に使用する各パラメータの分析・解析物品費に充当するため. (使用計画) 次年度に行う候補物質の絞り込みのための各パラメータの分析・解析用研究費として使用を予定している.
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Research Products
(7 results)