2018 Fiscal Year Research-status Report
災害ボランティア活動におけるリスク認知と事故予防に関する研究
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16K12836
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
太刀掛 俊之 大阪大学, キャンパスライフ健康支援センター, 教授 (90379222)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上田 真由子 大阪大学, 人間科学研究科, 助教 (70823764)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 事故予防 / ボランティア / 災害 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度の計画は,災害ボランティア活動時の事故やヒヤリハットについての実態と背景要因,安全確保の方策等の知見に基づきながら,場面想定法による質問紙調査法を用いて,災害ボランティア活動時のリスク認知・態度について明らかにすることであった。また,これらの結果を受けて事故予防のシナリオブック(ひな形)作成を念頭に,被災想定地域の組織に対してヒアリング調査を実施することであった。さらに並行して,事故リスク認知と予防,及び利他性との関係性に関する文献調査を継続することであった。 以上の計画に基づき,当該年度は引き続き,質問紙調査及びヒアリング調査の内容についての吟味を継続した。自主性を重視するボランティア場面では,リスクに関する知識,事故に繋がる不安全行動の遂行意図,動機づけや安全を配慮すべき責任主体等が行動を規定すると推測される。共感によって誘発される利他性の不利益が生じる機序については,研究が極めて少ないと指摘されているが(Batson, 2011),すでにボランティア行動を規定する要因については,Clary et al. (1998) によって6つ抽出されている。 これらの知見を踏まえてWEB経由による調査を実施するにあたり,質問紙調査で使用される場面想定法の設定を見直すとともに,災害ボランティア活動時のリスク認知・態度に影響する要因の統制方法について,ボランティア場面以外の調査方法との対比を行って具体的に検討した。また,活動時の安全マニュアル策定を想定したNPO団体とのヒアリングを実施し,上記の質問紙調査の結果を待たず,それらの知見に基づいて新たに行うヒアリング調査の項目についての検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2018年度は,場面想定法に基づく質問紙調査によって,災害ボランティア活動時のリスク認知・態度について明らかにすること,また,それらの結果に基づいて,事故予防のシナリオブック(ひな形)作成を念頭に,あらためてヒアリング調査を実施することを計画していた。しかしながら,利他性の不利益に関する文献は極めて少ないことから,研究アプローチそのものや利他性の不利益に関する知見の精査などに時間を要している。今回,研究期間の延長を行っており,上記の理由から(3)やや遅れている,と判断した。得られた検討結果を受けて速やかに調査を実行し,延長年度における計画の遂行を行う。なお,これまでに得られた知見を補強するためのインタビュー及び文献調査は延長期間中にも継続して実施する。
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Strategy for Future Research Activity |
延長による最終年度においては,同様の調査手法に詳しい研究分担者を新たに配置して,速やかに調査を実施する体制を整えている。利他性の不利益についての機序等については,場面想定法を用いた質問紙調査に基づいて明らかにすることとなり,対象範囲の観点からWEB経由での実施を優先する。また,事故予防シナリオブック(ひな型)作成を念頭に,質問紙調査の結果を待たずに,並行して予備ヒアリングを通して作業を進める。この作業によって,将来の活動に伴う事故リスクのヒアリング調査について,年度内での実施完了を図ることができる。なお,文献のレビューについては,海外の関連文献を含めてより幅広く実施することで,研究の位置付けを明確にする作業を継続する。
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Causes of Carryover |
申請時の金額よりも実際に採択された金額が少なく,より効率的な使用を行うため,自らが作業を担うなどして人件費の使用を控えた。また,旅費についてはヒアリング調査や学会発表による海外渡航等を想定していたが,研究の進捗を鑑みて実施を見送っているために次年度への使用額が生じた。
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