2016 Fiscal Year Research-status Report
典型的監視データと気象レーダーを用いた噴火規模強度に関する指標の即時決定法の確立
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16K12849
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中道 治久 京都大学, 防災研究所, 准教授 (00420373)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青山 裕 北海道大学, 理学研究院, 助教 (30333595)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 噴火 / 地震 / 空気振動 / 噴出率 / 噴出量 |
Outline of Annual Research Achievements |
桜島や浅間山などの爆発的噴火では,衝撃波や短周期音波の振幅が爆発規模を反映することが知られている.一方で,非爆発的な噴煙放出も数多くあるが,一般に音波(大気圧変動)の励起が小さいことから,それらの即時的な噴火規模評価は立ち後れている.我々はロコン火山(インドネシア),阿蘇山,霧島山,口之永良部島の噴火活動時に収録された空気振動データ中に長周期の信号を見いだし,映像観測との対比から噴煙柱の成長時に信号が励起されていることを確認した.噴煙柱の成長時に現れる空気振動(大気圧変動)は,火口から大気中に物質が放出される際に生じる大気の移流によって引き起こされていると考えられ,圧力変動の解析から噴火による放出物質量を概算できる可能性がある.ここでは火口からの物質放出を想定したモノポールソースを火口位置に仮定して,微気圧計記録の積分波形から物質放出の体積や体積変化率を検討した.霧島山では噴煙柱成長のビデオ映像から噴出体積の時間変化を検討した先行研究があり,我々の推定結果と先行研究の推定結果がよい一致を示すことが確認できた.このことは,爆発的でない噴火についても大気圧変動から噴火規模を迅速に評価できる可能性があることを示している.しかしながら音波(大気圧)データの精度やS/N比は,噴火様式や観測時の気象条件に大きく左右されるため,現段階では検討した手法を自動化することは難しい. 口永良部島の2014年と2015年の噴火について,地震および空気振動のエネルギーの比較を行い,2014年噴火は地震エネルギーが大きく,2015年噴火は地震エネルギーが小さいことが明らかになった.一方,火山灰量調査の結果から2015年5月噴火が規模が最大であることが分かっているため,噴火の規模を推定するにあたって地震動を使うにはさらなる検討が必要であることが分かった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
複数火山の空気振動による噴火規模の推定に想定以上の進展が見られたが,気象レーダーを用いた噴火規模推定の検討は未着手であった.
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Strategy for Future Research Activity |
阿蘇山,霧島山,口之永良部島などの噴火事例だけでは数が少ないため,桜島における非爆発的噴火についても調査を進め,長周期音波の励起を確認する.比較的規模の大きな噴火では火山灰放出量などが推定されているため,長周期音波に基づく噴火規模推定値を別の角度から評価することが可能であろう.併せて噴火微動や傾斜計・ひずみ計記録の時間変化も調査し,地震・地盤変動からの噴火規模推定の可能性を評価する.ただし,解析対象となりうるデータのほとんどがVEIで1以下程度のごく小規模な噴火によるものであり,より大規模な噴火事例についても検討が必要である. 鹿児島市街地に設置されている小型気象レーダーはすでに3年稼働し,噴煙を捉えている事例が蓄積されているので,データを整理し,レーダー反射強度の解析と火山灰量調査の結果との比較を進める.
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Causes of Carryover |
気象レーダーのデータ解析を実施することが出来なかったため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度にて未着手の気象レーダー解析を実施する.
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Magnitude-frequency distribution of volcanic explosion earthquakes2016
Author(s)
Nishimura, T., Iguchi, M., Hendrasto, M., Aoyama, H., Yamada, T., Ripepe, M. and Genco, R.
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Journal Title
Earth, Planets and Space
Volume: 68
Pages: 125
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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