2017 Fiscal Year Research-status Report
Development of new methods for evaluating cell mechano-response to multidirectional and anisotropic mechanical stimuli induced by hydrogel swelling
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16K12868
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
吉川 洋史 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (50551173)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉浦 慎治 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 上級主任研究員 (10399496)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ハイドロゲル / 膨潤力 / 細胞力学応答 / 細胞骨格 / 光応答性材料 / 光分解反応 / ゼラチン / 細胞膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、膨潤力を有するハイドロゲル材料を駆使して、空間自由度の高い細胞力学刺激法を開発することである。平成29年度は、光分解性ゲルを用いた研究を中心に進めた。本研究の光分解性ゲルは、分担者である杉浦慎治博士(産総研)らが開発した光開裂性架橋剤を用いて作製し、紫外線を照射することで、ゲル内で蓄積した膨潤力が解放され、ゲルが大きく変形する。昨年度までにゲル変形の最適条件(溶液、光強度など)が決定できたため、今年度はゼラチンをメインポリマーとした高い生体適合性の光分解性ゲルを用いて、細胞に力学刺激を与える実験を行った。特に本研究では、従来の機械アクチュエータでは難しい、異方的な力学刺激を細胞に与えることを目指し、電動ステージを用いて紫外線の多点照射を試みた。その結果、4方向から、それぞれ異なる強度で力学刺激を与えられることがわかり、空間自由度の高い細胞力学刺激法として応用できることが明らかとなった。そこで本基板上でマウスメラノーマの力学応答を詳細に調べたところ、大きな力学刺激に対しては細胞は粘弾性体のように振る舞うのに対して、小さな力学刺激に対しては仮足の再構成など生化学的な応答性を示すことがわかった。また、この詳細な分子メカニズムを調べるために、レーザー共焦点蛍光顕微鏡と光分解性ゲル基板を組み合わせた新しい実験系を立ち上げた。今後は本実験系により、力学刺激に対する細胞骨格や細胞膜の再構成ダイナミクスの測定を試みる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、空間自由度の高い力学刺激を加えることができる細胞培養基板の作製に成功しており、概ね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、様々な力学刺激に対する細胞応答性を計測し、その分子メカニズムの解明に挑む予定である。また、新しい細胞培養基板の開発というステージとしては区切りがついたため、本内容を論文化することを目指す。
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Causes of Carryover |
当初、対物レンズを含む多くの光学部品の購入を計画していたが、最適化により見込みより安く光学系を構築できた。今後は、細胞の力学応答を計測すべく試薬・計測部品などに使用する予定である。
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