2017 Fiscal Year Research-status Report
現代アジア女性の社会参画にみるコンフリクトと感情に関する比較民族誌的研究
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16K13129
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Research Institution | Kyoto University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
伊藤 まり子 京都外国語大学, 国際言語平和研究所, 客員研究員 (70640887)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
櫻田 涼子 育英短期大学, 現代コミュニケーション学科, 准教授 (30586714)
稲澤 努 尚絅学院大学, 表現文化学科, 准教授 (30632228)
宮脇 千絵 南山大学, 人文学部, 准教授 (30637666)
菅野 美佐子 国立民族学博物館, 南アジア地域研究国立民族学博物館拠点, 拠点研究員 (80774322)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 女性 / 社会参画 / コンフリクト / 感情 / 主体 / 比較民族誌 / アジア |
Outline of Annual Research Achievements |
本科研は、現代アジア女性の社会参画をめぐる問題について、コンフリクトと「感情」という観点から、東アジア、東南アジア、南アジアの各地域社会に暮らす女性主体の組織や集団を事例として、比較民族誌の方法論にもとづき実証的に検討することを目的としている。 この課題に取り組むにあたり、1年目の28年度は、代表および各分担者が関連の先行研究のまとめとその批判的検討を行い、それぞれに短期フィールド調査を実施した。 これを踏まえて2年目となる29年度は、代表および各分担者が資料収集およびフィールド調査を引き続き実施した。例えば代表である伊藤は、かねてから調査対象にしてきたベトナム南部地域ホーチミン市で活動するカオダイ教系宗教組織D聖室(以降、D聖室)を8月中旬に再訪し、組織内における女性信者の役職昇格および組織運営への参与のあり方と、それに関連する組織内コンフリクトについて追跡調査した。また分担者の菅野は、年度末の3月にインド北部の対象地域を訪問し、インド農村における女性の政治参画とコンフリクト解決について継続調査している。 これらの各自の調査活動に加えて、今年度のまとめと最終年度の活動についての議論を目的として、2月25日に第3回目の研究会を国立民族学博物館において開催した。研究会では、議論の方向性の練り上げを再度行うと同時に、各分担者が各事例についての経過報告を簡単に行った。加えて成果報告についても議論した。その際、当初の計画では最終年となる30年度にワークショップの開催を予定していたが、以下でも述べるように様々な理由からそれが難しいと判断し、もう一年の活動延長の可能性と延長年でのワークショップ開催について議論した。そこで最終年度となる30年度10月に、そのための事前の打ち合わせを国立民族学博物館で改めて開催し、ワークショップ開催に関する具体的な検討に入る予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本科研の進捗状況がやや遅れている理由は、次の通りである。第一点目は代表者である伊藤の勤務先に変更が生じ、校務との関係から計画していた研究対象地での資料収集および調査活動の計画を変更せざる負えない状況となった点である。 第二点目は、分担者である宮脇の調査地変更である。宮脇は当初、東日本大震災で被害を受けた地域を対象にして、仮設住宅を基盤に活動する女性たちの手芸グループを調査する計画であった。しかしながら震災から7年が経過し、被災者の生活再建が進む中で仮設住宅コミュニティも小規模化し、そこを基盤とした手芸グループの活動も変化が生じた。そのため当初予定したような継続調査が難しくなった。 第三点目は、分担者である櫻田が育児と勤務校での校務との関係で、調査対象地での調査活動が実施できず、具体的な資料収集がかなわなかったことである。
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Strategy for Future Research Activity |
本科研の進捗状況はやや遅れ気味ではあるが、次のような計画変更を加えることで進展の可能性が期待できる。 代表の伊藤については、これまでの調査活動で収集した一次資料を再度分析すると同時に、最終年度でも補足調査を実施する。補足調査は9月に行う予定である。 宮脇は、かねてから人類学的調査を実施してきた中国雲南省のモン族女性を対象にして、彼女たちの衣装の消費・生産に関わる社会参画とコンフリクトをテーマに調査を実施する。このテーマは宮脇が長年取り組んできた研究活動の一部分であることから継続調査も比較的容易であるし、本科研へのテーマにも接合可能であることから無理な変更ではないと判断した。 櫻田については、最終年度での短期調査を予定している。そこで補足的な資料収集を実施し、収集済みの資料と合わせながら、成果としてまとめることを検討している。 以上のような個別の活動変更に加えて、本科研は終了年度を一年先送りし、31年度終了とすることを計画している。それにより、より充実した成果取りまとめの時間を確保することができると考えている。
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Causes of Carryover |
本科研の進捗状況でも述べた通り、代表及び分担者による資料収集および調査活動に変更が生じ、当初の予定よりも調査活動の日程を短縮したり、中止としたことから、使用額の減額が生じた。そのため本科研の予算使用を最終年度まで見送り、調査活動を実施すること、また終了年度を一年延長し、31年度に最終的な成果報告として国際ワークショップをベトナム・ハノイの日越大学で実施することを計画している。
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