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2016 Fiscal Year Research-status Report

邦楽合奏における楽器配置に関する研究

Research Project

Project/Area Number 16K13175
Research InstitutionTokyo National University of Fine Arts and Music

Principal Investigator

吉川 さとみ  東京藝術大学, 音楽学部, 准教授 (30649489)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 萩岡 松韻  東京藝術大学, 音楽学部, 教授 (30376925)
亀川 徹  東京藝術大学, 音楽学部, 教授 (70359686)
Project Period (FY) 2016-04-01 – 2018-03-31
Keywords箏 / 三絃 / 十七絃 / 楽器配置 / アンサンブル / 主観印象実験 / 演奏評価 / ステージ音響
Outline of Annual Research Achievements

本研究は箏曲の邦楽合奏における楽器配置に関する研究である。近世箏曲で使われる箏・三絃・尺八といった邦楽器は古典作品を演奏するほか、様々な可能性を秘めた楽器として戦後の現代邦楽で多くの作品が生み出されている。それに伴い、箏曲における従来の「三曲合奏」から発展した多様な楽器編成による合奏作品が生まれ、特に「邦楽オーケストラ」とも呼ぶべき宮城道雄以降の現代邦楽における大合奏の際の楽器配置は、演奏者の経験則や舞台設営のしやすさといった観点によるものが多く、必ずしも良い音響や合奏のしやすさを考えた楽器配置とはいえない。近年では、合奏の楽器配置は客席からの見た目に加え、演奏者同士のタイミングの取りやすさと合図を出す演奏者の見渡しやすさによるところが大きく、楽器の特性を考慮した配置は少ない。しかしながら演奏者側視点から最適化された楽器配置が必ずしも音響的に最適ではないことを見出しつつある。現代のアンサンブルを重要視する音楽作品を演奏するにあたっては、演奏者の視点に加えて、客席での聞こえ方が重要度を増し、楽器の特性などをより深く理解し考慮することが不可欠である。
これを問題提起とし、本研究は、実演家、音響専門家の研究連携の下、様々な合奏形態の曲を音響面と演奏表現の視点から科学的に実験と検証を行い、理想的な邦楽合奏の楽器配置についての提案を行うことを目的とするもので、広く合奏作品の演奏表現向上に寄与したいと考えている。これらをふまえ、邦楽器による編成作品の演奏技術に新たな可能性を導き出し、今後の邦楽の普及に大きく貢献することを目指す。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

プロ演奏家による様々な合奏形態、パート編成、人数、パートや楽器の配置の中でも、大編成のものに注目し、演奏会本番での配置を撮影および録音し、資料とする。
演奏家・楽器店など舞台上の演奏・舞台設営または聴衆など様々な立場に於いて経験豊富で信頼できる人物約100名からアンケート形式で聴き取り調査を行い、「演奏時に意識すること」「舞台で求める事」「演奏のしやすさ」などをまとめ、方向性を探る。
昨秋9月に3日間かけて実施した予備実験では、藝大内第2ホールで考え得る様々な配置パターンでの試奏及び試聴をし、奏者、聴者双方からの評価をまとめた。結果的に、30種類を超える様々な配置案から良い配置を3分の1まで抽出することができた。予備実験の際の録音も音響解析中であり、それらの結果を活かし、今年度は奏楽堂での本実験を行う。
総括演奏会と同じ会場で行う奏楽堂実験から最適な楽器配置を提案する為、どちらも同じ曲目を演奏することが望ましい。夏に予定している実験に向けて作曲を委嘱している。奏者、聴者についても選定を行っている。奏者については大学院生も含むため、合奏の演奏指導も継続的に行っている。

Strategy for Future Research Activity

平成28年度のアンケートについて、引き続き集計・分析を進める。
平成28年度の予備実験、アンケート調査を受け、7月31日(月)、8月1日(火)の2日間かけて8~10種類の楽器配置を試奏・録音し、予定している4パート16名の奏者の評価を得ると同時に、客席では演奏家の耳で聴き取り評価を行う。
実験に於いては実際の演奏会を想定した練習を行い、完成度の高い演奏を目指す。その為に想定される懸案事項は解決できる様、下記のとおりに準備を行う。①演奏者にとって慣れない状態での合奏では演奏の質が下がることが懸念される。②指揮者のいない邦楽合奏でパートリーダーが目視できることは重要視されることがアンケートで調査済みであるので、各配置において最低限度の演奏し易さを確保する為、微調整が必要となる。③楽器・録音機材の設置を配置パターン毎にスムーズに行える様、入念な下準備が必要と予想される。上記理由により、両日とも午前中にリハーサルを行い、試奏試聴実験は午後に行うことを想定する。使用する演奏曲目は、総括演奏会での演目のうちの1曲とし、平等な聴取のためにも中庸のテンポ、遅いテンポ、速いテンポの3つの部分を用意する。
奏楽堂での本実験で得た情報と録音の分析を行い、箏曲を起点とした邦楽器によるアンサンブル技術向上のための楽器配置を提案する。その上で、3月18日(日)に吉川さとみ退任記念演奏会を開催し、成果披露のための総括演奏会とする。実験から得た情報を元に、奏楽堂での理想的な楽器配置の提案とする。

Causes of Carryover

旅費を使用しなかった為、次年度使用額が生じた。国内の邦楽演奏団体、楽器店、音楽ホール等での調査を予想していたが、アンケートや聞取り調査で回答を得ることができた。

Expenditure Plan for Carryover Budget

平成29年度は成果発表会の演奏会場となる奏楽堂で試奏試聴実験を行う為、2日間分の奏者、聴者、設備使用、録音等費用が必要である。成果発表会及び実験で演奏する楽曲も委嘱しており作曲料が必要となる。

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Published: 2018-01-16  

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