2016 Fiscal Year Research-status Report
富山大学附属図書館所蔵ヘルン文庫を活用したラフカディオ・ハーン研究体制の構築
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16K13215
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
中島 淑恵 富山大学, 人文学部, 教授 (20293277)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
結城 史郎 富山大学, 人文学部, 准教授 (00757346)
小谷 瑛輔 富山大学, 人文学部, 准教授 (10753618)
水野 真理子 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 准教授 (40750922)
西田谷 洋 富山大学, 人間発達科学部, 教授 (70378230)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ラフカディオ・ハーン / ヘルン文庫 / 比較文学 / 19世紀フランス文学 / 19世紀アメリカ文学 / アイルランド文学 / クレオール文学 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者中島が、ギリシア詞華集におけるハーンの書き込みについて国際比較文学会世界大会において発表を行った(2016年7月9日)。2016年9月17日富山大学において国際シンポジウム「ラフカディオ・ハーン研究の新たな試み―ヨーロッパ・アメリカ・日本をつなぐもの―」を開催。2017年2月11日・12日富山大学においてラフカディオ・ハーン研究シンポジウムを開催。内容は、基調講演として「多言語的なアメリカとハーン」西成彦および「ハーンの言語観と英語教育」西川盛雄、発表「ハーンのニューオリンズ時代における日および本との出会い―『日本の詩瞥見』をめぐって」中島淑恵、「ハーン『チタ;最後の島の記憶』を読む―アイルランドと日本の交点としてのアメリカ」結城史郎、「ことば、記憶、“Creolization”―前衛小説として読むハーンの『チタ』」難波江仁美「ハーンにおける「クレオール性」の再読解:イナ・セゼールを中心に」廣松勲、「ハーンにおける異質なるものの表象」長岡真吾、「ハーン作品における『ひとりであること』について」池田志郎、「ハーンの『柔術』について」濱田明、「シンシナティ時代におけるハーンの新聞記事について」水野真理子、「ハーンの弟子達のボードレール」小谷瑛輔、「小学校・中学校国語教科書における小泉八雲作品の行方」西田谷洋。これに基づいて研究論集『ヘルン研究』第2号を刊行。この他、日本フランス語フランス文学会秋季大会において「ラフカディオ・ハーンとフランス」という題目でワークショップを行った(2016年10月23日)ほか、日本比較文学会関西支部大会にて、共同研究者小谷が「芥川龍之介「黒衣聖母」に見られるボードレール受容」として発表を行い、また研究代表者中島が同会にて、「ハーン研究の新展開~ヘルン文庫の活用法~」としてワークショップを主宰(2016年11月12日甲南大学)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度中にギリシア詞華集におけるハーンの書き込みについて国際比較文学会世界大会において発表を行うことができた(2016年7月9日)他、2016年9月17日富山大学において国際シンポジウム「ラフカディオ・ハーン研究の新たな試み―ヨーロッパ・アメリカ・日本をつなぐもの―」を開催することができ、当初の予定にはなかったヴァージニア州立大学のハーン関連草稿類研究者ロジャー・ウィリアムソンと研究成果を共有すると同時に今後の協力連携体制を打ち立てることができた。また、2017年2月11日・12日富山大学において開催したラフカディオ・ハーン研究シンポジウムにおいて、従来ハーン研究者として定評のある西成彦と西川盛雄に基調講演をお願いし、これも今後の研究協力体制を構築することができた。また、ハーンのアメリカ時代の専門研究者である難波江仁美やクレオール文学研究者である廣松勲、熊本のハーン研究者池田志郎など本プロジェクト外の専門研究者を招聘して意見交換を行ない、今後の研究協力体制を構築することができた。また、っ本プロジェクト連携研究者である長岡真吾、濱田明についても、発表・議論を通した意見交換を行うことができた。また、共同研究者であり富山大学ヘルン研究会のメンバーである水野真理子、西田谷洋。小谷瑛輔、結城史郎もそれぞれの関連研究を推進し、この機会に発表を行い、これに基づいて研究論集『ヘルン研究』第2号を刊行することができた。また、日本フランス語フランス文学会秋季大会や日本比較文学会開催支部大会にて関連のワークショップを行い、これまでの研究成果を披露すると同時に、今後のヘルン文庫を活用した研究体制構築あるいは新たな研究の可能性について十分意見交換を行うことができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究会、講演会、シンポジウムの成果により、本プロジェクトによる研究チームが、ラフカディオ・ハーンについての学術研究のセンターの一つとして国内外の専門研究者および広く世間に認知されつつある。次年度はこの成果を踏まえ、研究会において研究者個々のハーン関連研究を推進すると同時に、ヘルン文庫蔵書の書き込み調査を推進する。また、富山大学附属図書館と連携して、ヘルン文庫蔵書のデジタル・アーカイヴ化をさらに進め、国内外の研究者との協力連携関係をさらに強化する。また、とりわけ国外の研究者の需要に応えるため、ホームページの英語版および仏語版を早急に作成する必要がある。これに加えて、ヘルン文庫および研究活動の英文による活動報告書も作成・公開する必要がある。また、これらの研究の成果としてこれまで実施してきた国際シンポジウムを次年度も開催し、その結果を研究論集『ヘルン研究』第3号として取りまとめる。今回は可能なら国内外の若年研究者に参加を広く呼びかけ、査読体制も充実させて、学術研究会および学術研究誌としての質の向上に努めることにしたい。なお、当初の予定にはなかったヴァージニア州立大学図書館収蔵ラフカディオ・ハーン関連研究資料の活用と同図書館との連携も視野に入れたアメリカのハーン研究者および研究機関との研究体制の構築に努めたい。また、ラフカディオ・ハーン関係研究書および、ヘルン文庫を補完する資料(たとえばアメリカ時代にハーンが執筆したとされる新聞記事のアーカイヴなど)と同時に、ヘルン文庫目録にも遺漏が多いことから、この補遺を逐次作成し、デジタル公開できるように努める。
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Causes of Carryover |
当初購入を予定していたラフカディオ・ハーン関連研究文献(1冊)が、洋古書であったため年度末に現物が到着し、その金額が14万円と差引額を大きく超えるものであったため、購入ができなかった。このためこの図書の購入を翌年度に回すことにしたたため差額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
昨年度購入予定にしていたラフカディオ・ハーン関連研究文献を購入する資金の一部に充てる。
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