2017 Fiscal Year Annual Research Report
Organisation of research cooperation groupe on Lafcadio Hearn
Project/Area Number |
16K13215
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
中島 淑恵 富山大学, 人文学部, 教授 (20293277)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
結城 史郎 富山大学, 人文学部, 准教授 (00757346)
小谷 瑛輔 富山大学, 人文学部, 准教授 (10753618)
水野 真理子 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 准教授 (40750922)
西田谷 洋 富山大学, 人間発達科学部, 教授 (70378230)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ラフカディオ・ハーン / ヘルン文庫 / 比較文学 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に引き続き、富山大学附属図書館所蔵ヘルン文庫の資料を中心にした書き込み調査を推進すると同時に、研究代表者及び研究分担者がそれぞれにラフカディオ・ハーンに関する個別研究を行い、各学会等で発表した。また、「ラフカディオ・ハーン国際研究シンポジウム」を開催し、学内外の外国人研究者を含む研究者を招聘して基調講演(小森陽一東京大学教授「二つの『心』―ハーンと漱石」、小泉凡島根県立大学短期大学教授で本研究の連携研究者「文化資源としての作家と文学」)の他、研究発表と意見交換を行い、その成果を「ヘルン研究」第3号として刊行した(研究代表者中島淑恵「」ヘルン文庫書き込み調査報告―『ギリシア詞華集』と『ルバイヤート』をつなぐもの―、研究分担者西田谷洋「戦後高等学校国語教科書の中の小泉八雲・序説」、小谷瑛輔「文学教育の題材としての小泉八雲―富山大学の実践例をもとに―」、結城史郎『ラフカディオ・ハーンの再話と日本人の文化的記憶の変容』、水野真理子『ハーンはアメリカでどう読まれたか―『日本―一つの解明を中心に―』)。 今年度活動の結果、ラフカディオ・ハーンの文学的活動において、アメリカ時代、とりわけニューオリンズ時代を中心に書かれた、ジャーナリストから作家へと移行する時期の著作がのちの怪談作家としてのハーンにとって重要な転換点となったことが解明された。また、ハーンの作品の日本国内における影響のみならず、アメリカにおいても後世に大きな影響を及ぼしていることが明らかになった。さらには、従来仏教思想の反映とされていた無常観や輪廻転生のような世界観が、古代ギリシアやペルシアの思想の反映であることも蔵書の書き込み調査から実証的に証明できることとなった。さらに、日本の神話とギリシア神話の相同性やマルチニークの民話と他のクレオールの民話の類似性にハーンが着目していたことも明らかになった。
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