2017 Fiscal Year Research-status Report
ライフコースの視点からみた日本語教師の成長とキャリア支援プログラムの開発
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16K13243
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
義永 美央子 大阪大学, 国際教育交流センター, 教授 (80324838)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡部 倫子 広島大学, 教育学研究科, 准教授 (30379870)
本田 弘之 北陸先端科学技術大学院大学, グローバルコミュニケーションセンター, 教授 (70286433)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 教師の成長 / 教師の役割 / 教師の資質・能力・スキル / キャリア構築 |
Outline of Annual Research Achievements |
言語教育においては、教師による一斉指導から学習者の自律的・主体的かつ個別的な学習をどのように支援・促進すればよいかという点に実践上および研究上の関心が移行する中で、教師の果たすべき役割についても再考が求められている。平成29年度の研究では、自律学習支援の一助として行われる学習記録に教師がどのようなコメントをつけるかを分析し、教師は「専門家・教授者」「ファシリテーター」「情報提供者」「学習管理者」「メンター」「改革者」の役割を果たしていること、および、学習記録を書くことによって学習者の学習目標が具体化するとともに、記録とコメントの交換を通じて教師との信頼関係が構築されていたことを明らかにした。また、評価の観点から現在日本国内の第二言語としての日本語教育で行われている実践の現状と課題を分析したうえで、特に外国人児童生徒のためのJSL対話型アセスメントDLAに関する研修が教師の成長にどのように影響するかを検討した。 さらに、日本語教師の成長に関するアンケート調査を行うため、先行研究から教育実践や教育に対する考え方に影響を生み出したと思われる事柄(経験)を抽出したうえで、質問紙を作成し、対象となる日本語教師に調査協力を依頼した。この調査では、日本語教師に求められる資質・能力・スキルに関する自己評価、および、教師としての成長の過程や成長を促す転機となった出来事、キャリア構築上の課題や支援ニーズ等について尋ね、世代や性別、所属機関や身分等によって自己評価や成長の過程に相違がみられるかどうかも検討する。 アンケートはウェブでも実施できる形態にして、より広い範囲の日本語教師が大きな負担なく調査に参加できるよう配慮している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、平成29年度はアンケート調査およびインタビュー調査を実施し、日本語教師の成長の過程や成長を促す転機となった出来事、キャリア構築上の課題や支援ニーズ等について尋ねる計画であった。質問紙の作成は計画通り実施したものの、作成に予想よりも時間がかかり、調査結果をまとめ、その結果をふまえてインタビューを行うまでには至らなかったため、上記評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、まず平成29年度に準備・実施したアンケート調査に基づき、日本語教師の資質・能力・スキルに関する自己評価と成長を促す転機となった出来事、キャリア構築上の課題や支援ニーズ等を明確化する。すでに150名を超える日本語教師から回答を得ることができており、平成30年度は適宜外部業者や研究協力者の補助を得ながらデータの整理や集計を行い、収集したデータの分析を進める。また、アンケート調査の結果にもとづき、インタビュー調査を実施する。アンケート回答者のうち、インタビューにも協力可と回答した日本語教師に協力を依頼し、教師としての成長およびキャリア構築に関する教師一人一人の声や思いを収集する。これらの調査の結果は、日本語教育学会等の関連学会での発表や学術誌への投稿等を通じて日本語教育関係者に広く周知していく。さらに、アンケートとインタビューによる量的分析・質的分析の結果を統合し、日本語教師の振り返り(リフレクション)や将来設計(キャリアプラン)を支援する方策についても検討を進める。
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