2019 Fiscal Year Annual Research Report
Chronological comparative study for Expanding knowledge with visual archives
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16K13308
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
鈴木 岳海 立命館大学, 映像学部, 教授 (20454506)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大森 康宏 国立民族学博物館, その他部局等, 名誉教授 (00111089)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 映像人類学 / 同一現場・同一対象・同一撮影者 / 学術映像 / 通時的比較研究 / 映像アーカイブ |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度において、研究代表者は、撮影者だけではなく市民との協同性をもとにした時系列変化を明らかにする映像記録の枠組づくりと映像提示モデル構築を目的に、「撮る」「撮られる」「視る」を固定化しない実践を継続し、市民への取り組み支援とともに写真展を開催した。具体的には、1.これまで「撮られる側」にあったネワール族が自らの生活を写真で記録すること、2.これまで生活環境を記録しなかった女性や高齢者が映像記録をおこなうこと、3.写真展がどのように展示され写真が見られているのか共有することである。こうした映像をプラットフォームとした研究調査により、調査情報の共有や調査の成果をともに社会へ発信する手法の事例を協同して実践した。一方で、計画していた『烏帽子の子たちの烏帽子』制作について、新型コロナウィルス拡大防止措置などにより調査を十分に実施することができず、映像による通時的比較研究のサイクルが中断した。 共同研究者は、1990年に製作した『ジョゲット・ブンブン』と『土と火と水の葬送 -バリ島の葬式 -』を2019東京ドキュメンタリー映画祭「特集映像人類学の冒険」において上映した。また「山鉾と剣鉾」として、『祭りに生きる-京都の鉾差し -』を上映し講演をおこなった。さらに東北地方のイタコに関する映像を用いて、被撮影者と討論する会を実施した。これらの調査、上映講演実践を通じて、通時的視覚変化の実態を明らかにするには、「変わらないもの」「変わるもの」について、生活の変化へも目を向けて記録していく必要があることが確認された。一方で、新型コロナウィルス拡大防止措置により、計画していたサンチャゴコンポステラ巡礼に関するフランスでの一部区間の再調査ができなかった。 これらの取り組みにより、今後の映像記録を活用した通時的比較研究にとどまらず、映像による市民を含めた知の拡張の可能性を示すことができた。
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