2018 Fiscal Year Annual Research Report
Construction of public law theory in the protection of industrial heritage sites
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16K13319
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
林 晃大 近畿大学, 法学部, 准教授 (80548800)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上代 庸平 武蔵野大学, 法学部, 准教授 (90510793)
野口 健格 中央学院大学, 法学部, 准教授 (00716780)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 公法学 / 産業遺産 / 行政法 / 憲法 / 地方自治法 / ヨーロッパ |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は、これまで同様イギリス・ドイツ・スペインにおける産業遺産の保全・活用の現状について比較法制度研究を行った。特に当年度は、産業遺産の利活用が十分になされていない地域に焦点を当て、産業遺産の価値認識が政策形成の際の優先順位に影響するかどうかに関する実地調査を行うと共に、十分な利活用に向けた制度整備のスキームについて検討を行った。 例えば、イギリスではコルチェスターの給水塔やロンドンのパディントン駅など世界遺産に登録されていないもののその価値や重要性が主張されている産業遺産の、ドイツ・スペインでは世界遺産に登録されているものの国内でも知名度が低く、かつ現用の状況にある産業遺産の訪問調査・視察をそれぞれ行うことで、純粋な文化財保護政策の対象とならない特性をもつ産業遺産の保全・活用の両立のあり方を把握することができた。また国内においても、北海道の各自治体に調査を実施し、夕張市・赤平市・美唄市・三笠市における産業遺産の積極的な活用策の展開や地域文化の発信状況を把握することができた。 日本においてもヨーロッパにおいても、産業遺産を何らかの政策パッケージの中に位置づけ、それを利活用につなげていく手法が採られる点は研究期間を通じて実施した調査等から明らかになった。一方、そのパッケージに含まれる政策内容は、ヨーロッパではEU・国レベルの補助プログラムを含む財政措置や、都市政策・産業規制政策など複合的かつ重層的であるのに対して、日本の場合では観光振興・地域文化施策など方向性がなお固まりきっていない現状にある。ヨーロッパの政策それ自体が日本の事情に当てはまるかどうかはなお検討を必要とするところであるが、本研究の当初の目的であった日本の産業遺産保護政策の立ち後れた面を認識し、それに必要な政策スキームを摘出するところまでは到達することができた。
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Research Products
(5 results)