2017 Fiscal Year Annual Research Report
Cycle between Entrepreneurship and Laws
Project/Area Number |
16K13327
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
吉原 和志 東北大学, 法学研究科, 教授 (10143348)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
得津 晶 東北大学, 法学研究科, 准教授 (30376389)
河合 晃一 金沢大学, 法学系, 講師 (50746550)
福嶋 路 東北大学, 経済学研究科, 教授 (70292191)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 起業 / 会社法 / 法制度 / クラスター化 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、前年度のインフォーマルな日本におけるインタビュー結果として分担研究者得津が導出した「起業活動において法制度は必ずしも重要ではない」という命題が妥当するのか否かを、経済学(経営学)、行政学の観点から分担者、福嶋、河合が検証し、コメントを加えた。なお、この過程で、スタートアップのような中小企業を念頭に置いた場合、商法ないし商法典にはどのような事項を規定すべきかについて検討を加えた。 その中で、確かに設立規制のような起業そのものを対象にする法制度の影響は弱いかもしれないが、銀行などの金融機関を中心とする経済構造を支える法制度の存在や、従業員(正社員)を単位として優遇する社会保障など、法制度が起業という選択を阻害する可能性があることが指摘された。これは、法制度の直接の効果というだけでなく、「従業員が普通である」「資金調達は銀行借り入れが普通である」というバイアスを与えることで、客観的な効果・機能を超えて、人々の意思決定に影響している可能性があることが指摘された。これは、やはり「法制度」が重要であること、そして、法制度が人々の考え方という文化的要因に影響を与えることを意味し、法制度と文化的要因の循環が起業活動に影響を与えているという本研究の命題が示されたことを意味する。 この過程で、社会保障の重要な機能を維持しながらも、正社員が普通というバイアスを国民に与えない方法として、私保険・共済が、社会保障の代替機能を果たすことが可能かを検討した報告を韓国・台湾の研究者をWSで報告した。
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Research Products
(3 results)