2017 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16K13354
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Research Institution | Kochi University of Technology |
Principal Investigator |
西條 辰義 高知工科大学, 経済・マネジメント学群, 教授 (20205628)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | フューチャー・デザイン / 仮想将来世代 / 持続可能性 / 社会システム |
Outline of Annual Research Achievements |
現世代を優先する民主制と市場制は将来世代のwell-beingを視野にいれることができず,機能不全を起こしているため,これらを補完する社会システムの一つとして「仮想」将来世代を現代に導入することを提案したが,29年度は仮想将来世代の効果を実験室および実践で検証を継続している. 昨年度は高知工科大学の学生・院生を被験者とし,仮想将来人の効果を確認した.これを受けて同じ枠組みでバングラデシュのダッカ(都市域)とボグラ(農林域)で一般の人々を用いたフィールド実験を実施したところ,ダッカでは仮想将来世代の効果がほとんどなく,一方でボグラではその効果があった.さらにはボグラにおける持続可能な選択はダッカのそれのおよそ倍であった.そのため,都市域でも持続可能な選択ないしは人々が持続可能な選択をするような社会制度のデザインが課題となった.そこで,民主制を補完する社会システムとして,3つのステージを準備した.第一ステージで,現世代が次世代であると想定し,そこから現世代にアドバイスを送る経験をする.第二ステージで,現世代が現世代として意思決定をする.もし,両ステージで同じ意思決定をするならその選択を最終選択とする.もし異なれば第三ステージとして多数決を用いる.つまり,多数決を補完する社会システムを導入するのである.このデザインの元でフィールド実験を実施すると,持続可能な選択が80%を超えたのである.つまり,新たな「社会の仕組み」を導入することで「人々の考え方」を変えたといってよい.
これを受けてさまざまな仮想将来世代を用いない社会の仕組みのデザインを開始している.さらにはこれらの成果を実践の中で実施することもこれからの課題となるであろう.
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