2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K13414
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
野田 隆 奈良女子大学, 生活環境科学系, 教授 (50189403)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 埋火葬 / 災害死 / 広域連関 / 災害社会学 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年9月~11月に、南海トラフ地震防災対策推進地域29都府県707市町村と同地震津波避難対策特別強化地域に指定された13都県139市町村を対象にアンケートを実施した。有効回収率は29.8%で郵送調査としてはまずまずの回収率である。調査項目としては 遺体安置・懸案所の選定から始まる遺体対応手続き(遺体の発見、搬送、懸案、身元確認、遺族への引き渡し、火葬許可、火葬)の地域防災計画への反映の具合、その間に必要とされる連携などである。ざっとみた感触では、強化地域と推進地域の間に準備の差は見られないようであり、「対応計画がある」のは全体の四分の一」である。その内容は、棺やドライアイスなど必要資源の担当係は決まっているが、備蓄があるというわけでは必ずしもなく、市町村としては遺体に関する実務があるという想定が弱いように感じた。葬祭業者との協定も市町村レベルではなく、検視の済んだ遺体から遺族が引き取り、通常の葬送儀礼に向かうというイメージをもっているようである。 東日本大震災時の対応を中心に「全日本冠婚葬祭互助協会」「全日本葬祭業協同組合連合会」「全国霊柩自動車協会」にインタビューも実施した。現場では目の前の遺体と遺族対応で手いっぱいで、連携がどうのという状況ではなく、各団体とも東京にある本部では、会員から自分たちも応援に行きたいからスケジュールを組んでくれ、国からも漠然とした支援要請で何をいくつどこへという明確なリクエストがなく、手配に明け暮れていたという様子を異口同音に述べていた。2万弱という死者数だったが、南海トラフではこの3倍が想定されるが、業界団体でも対策会議が始まろうという段階だということだった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
28年度に実施予定の地方自治体アンケート調査は予定通り行えた。また、関連団体へのヒアリング調査は埋火葬の業界3団体すなわち「全日本冠婚葬祭互助協会」「全日本葬祭業協同組合連合会」「全国霊柩自動車協会」に実施することができた。これらによって、東日本震災時の広域連携埋火葬・搬送の運用実態の把握と南海トラフ地震における死者対策に関する市町村の現状のデータを収集しえたといえる。 ドライアイスメーカー会は所在が掴めず、ヒアリングが実施できなかった点が「おおむね」順調とする所以である。また、PCが壊れてしまい、データ復旧に時間がかかったのも痛かったが、大きな後れとはならずに済んだ。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通りに進める予定であり、29年度は四国の自治体ほか関連団体に災害時の死者対応に関するヒアリングを行い、データ収集に一応の区切りをつけた後、28年度収集データから順番に整理・分析をする予定である。
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