2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K13716
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
佐藤 政行 金沢大学, 数物科学系, 教授 (00266925)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
曽我 之泰 金沢大学, 数物科学系, 助教 (90525148)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | テラヘルツ発生 / 局在励起 / フォノン |
Outline of Annual Research Achievements |
複数の炭酸ガスレーザーからの約10μの光を固体表面に照射し、差周波で表面のテラヘルツ励起を行い、非線形性に依り結晶表面に局在励起を生成させ、またそれを検出することを目標にしている。炭酸ガスレーザーの整備は、横励起大気圧TEAレーザーをパルス強度2-3Jで通常運転できるようになった。連続放電の1台のCWレーザーは通常運転できる。TEAレーザーは大出力で励起用であり、小出力ではあるが使いやすいCWのレーザーを複数整備する必要がある。別の1台について、COレーザーを改造してCW運転の炭酸ガスレーザーに整備中であり、ほとんど整備が終了する段階である。ヘリウムガスが高価なのですべて循環型に改造してある。次は固体表面への照射実験である。 H29年度は、本研究の元になった結晶格子中に非線形性を元に局在励起ができる、Intrinsic Localized Mode(ILM)と呼ばれる現象が発見されてから30年になる。日本人のILM研究グループは、佐藤とSieversをco-chairに国際ワークショップ"International Symposium on Intrinsic Localized Modes, 30th Anniversary of Discovery"を京都社会福祉会館にて1/25-27に開催した。ロシア、韓国、アメリカ、スペイン、フランス、中国、ウクライナ、カメルーンから参加者があった。後援は豊田理化学研究所で、「非線形エネルギー輸送による新しい物性理論の探求 」代表(阪大)土井祐介の活動でもある。本研究の刺激となった、ロシアのDmitrievの表面での非線形局在励起の研究も発表された。分子動力学計算(シミュレーション)を中心とする非線形の格子振動の研究が多く、実験はあまり報告されていない。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
連続発振のCW炭酸ガスレーザーは動作している。もう一台のCWレーザーを整備中で、もともとはCOレーザーだったので窓剤が異なり、ブリュースター窓なども作成し、動作に向けて準備中である。パルスの横励起大気圧TEAレーザーは今年度から整備を開始した。当初は出力が出なかったが、コンデンサーへの充電とトリガー系の電気回路を調整し、予備放電コンデンサーを見直すことで安定した運転ができるようになった。このTEAレーザーは数分に1発と繰り返し周波数が低い問題点がある。解決するためにサイラトロンを用いた使用していないエキシマレーザーを分解し、炭酸ガスレーザーに改造途中である。ガス循環系、放電系、電気回路の整備はほぼ終了したが、まだトリガー回路の作成が済んでおらず放電までは至っていない。10ヘルツ程度の繰り返し周波数は期待できる。2台のCWレーザー、1台のTEAレーザーは回折格子が実装されていて、波長が選択できる。これらを用いて、固体での実験を目指す。
|
Strategy for Future Research Activity |
1台のCW炭酸ガスレーザーの整備を進め、複数のレーザーを用いた実験に移る。試料表面上でのミキシング実験、あるいは最初は高速ダイオードを用いたマイクロ波でのミキシング実験から始める。20GHzまでのスペクトラムアナライザー、テラヘルツで動作する高速ダイオードはあるので、利用できると期待される。そこから少しずつ、周波数を上げることが考えられる。もし、高出力のテラヘルツ波が得られるのであれば、低温で動作するテラヘルツ検出器があるので、低温環境を整え、それらも整備する。テラヘルツで動作するマイケルソン干渉計を整備し、スペクトルを測る。 固体で非線形に由来する局在励起が生じた場合、局在個所にエネルギーが集中し非線形性が局所的に大きな効果で働いていると期待される。表面での差周波出力が弱い場合でも、その非線形性に由来する信号が効率的に検出できると興味深い。たとえば、周波数変換により、今までなかった周波数に新たな信号が出現することが期待される。
|
Causes of Carryover |
(理由) レーザーの整備に集中する必要があり固体表面やレーザー自体を使用する研究に移れなかったため。 (使用計画) 固体結晶、あるいはそれを利用した実験に使用する器具を作成するための部品や材料を購入する。
|
Research Products
(4 results)