2018 Fiscal Year Research-status Report
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16K13748
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
木村 俊一 広島大学, 理学研究科, 教授 (10284150)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島田 伊知朗 広島大学, 理学研究科, 教授 (10235616)
石井 亮 名古屋大学, 多元数理科学研究科, 教授 (10252420)
高橋 宣能 広島大学, 理学研究科, 准教授 (60301298)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 代数幾何 / モチーフ |
Outline of Annual Research Achievements |
Infinitesimal Motivic Chow Series の有理性について、トーリック多様体の余次元1の第1次近似級数の場合に、有理性の証明を行った。また、任意の2点が有理同値となるような代数曲面の変形が与えられた場合、その有理同値をあらわす曲線とその上の有理関数のデータが有界性を持つことを示した(Sheng Mao氏 及び Mingwei Zhang氏との共同研究)。 本研究の興味の主対象である圏の有限性の証明に関連して、2018年度は Joseph Ayoub 氏による Conservativity 予想の証明がベルリンのフンボルト大学の研究集会で詳しく紹介される、という事件があった。1週間にわたって朝から晩まで強行軍で行われた研究集会においても証明の全ての詳細を紹介することはかなわず、証明の概略の紹介にとどまった。まだまだ安定して信頼できる結果が得られた状況ではないが、研究代表者の印象としては全体の流れとしては正しそうに思われる。研究代表者の手法とは大きく異なる微分方程式的な手法が用いられたこと、またその手法の専門家にとっても全てが明快に解決されたという状況ではない、ということをおいても、本研究グループとは別の研究グループによって、別の研究手法によって、本研究の主要目標とする部分が解決されてしまったことは、嬉しくもあり、悲しくもある。 2018年度の後半は、Ayoub 以降のモチーフ研究で目標とするべき方針の設定にエネルギーを注いだ。(1)Ayoub の Conservativity の証明が代数幾何以外の圏でも応用がきくのか?(2)マトロイドやオリエンティッドマトロイドのモチーフ(そもそもそういうものをどう定義するのか)の有限次元性(3)Association Scheme の圏の有限次元性、など。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Joseph Ayoub 氏によって Conservativity 予想が証明されたことで、本研究課題は大きく進み始めたと言って良い(他力本願ではあるが)。Ayoub 氏の証明はまだ不安定な状況であり、証明が安全確実に使えるように、Ayoub の証明をフォローし、その本質的な部分を見抜いて整理し、さらに一般化を目指す必要がある。本研究課題で進めていた Infinitesimal Motivic Chow Series の有理性や有理同値データの有界性などの研究は一旦休止して、現在はAyoub 氏の成果の消化・吸収に全力をあげている。 Ayoub 氏の証明の本質は、Voevodsky のモチーフ層の圏に foliation が定める層を組み入れて、統合的に議論することである。Bloch 予想の定式化から考えて、微分が大きな役割を果たすことは自然なので、それを foliation の層という形で取り込んで統合的に扱う、というアイデアそのものは自然なのであるが、証明の中で実際に登場するfoliationの層は自明なものしかなく、その証明の本質は膨大な General Nonsense な議論の海に閉ざされているように見える。
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Strategy for Future Research Activity |
Ayoub 氏の証明をフォローし、整理することが基本戦略である。基本文献は Topologie feuilletee et la conservativite des realisations classiques en caracteristique nulle (プレプリント)であり、これを読み進める。この論文はAyoub 氏の博士論文(Les six operations de Grothendieck et le formalisme des cycles evanescents dans le monde motivique I, II(Asterisque 314, 315)に始まる氏の一連の膨大な研究に基礎をおいており、必要に応じて参照するにしても、かなり時間を要するかもしれない、という課題がある。 Ayoub 氏のアイデアの本質的な部分は Foliation の層という形で微分構造を取り込んだことであり、それでうまくいくことが分かった以上、なんらかの形で微分構造を議論に取り込むというアイデアをAyoub氏とは独立に行うことも視野に入れるべきだと考えている。
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Causes of Carryover |
Ayoub 氏のConservativity 予想の証明によって、本研究課題の進め方を大きく変更せざるをえなくなった。 具体的には、Motivic Chow 級数の有理性に向けて参加予定であった研究集会などの参加をとりやめて、Ayoub 氏の理論を理解するための情報収集を開始したため、次年度使用額が発生した。次年度は Foliation の Motivic Sheaf 関係の研究集会に参加し、あるいはその研究者を広島大学に招聘する。
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Research Products
(2 results)