2017 Fiscal Year Research-status Report
GPUと深層学習を用いた広視野サーベイのための高精度・高速天体認識技術の開発
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16K13783
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
谷津 陽一 東京工業大学, 理学院, 助教 (40447545)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠田 浩一 東京工業大学, 情報理工学院, 教授 (10343097)
井上 中順 東京工業大学, 情報理工学院, 助教 (10733397)
下川辺 隆史 東京大学, 情報基盤センター, 准教授 (40636049)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 気象識別 / 深層学習(DEEP LEARNING) / 畳み込みニューラルネットワーク(CNN) / 時間領域天文学 / GPU / 画像処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
計画2年目では、以下3つの研究を実施した。 (1)昨年度開発した軽量気象識別機の移植性・汎用性の確認を行った。まず、計算機環境に関しては通常のラップトップ計算機へ移植し、数秒で処理が完了することを確認した。一方、画像についてはこれまで明野50cm望遠鏡に設置した全天カメラの映像のみを使用していたが、東大木曽観測所の全天カメラとパロマ山天文台の画像を入手して、明野のデータで学習したネットワークによる分類を試みた。結果として、カラーバランスのある程度近い木曽観測所のデータでは明野より劣るもののある程度の識別は可能であったが、カメラが全くことなるパロマ山のデータに対してはほとんど識別することができなかった。これは、曇が都市光を反射しているために、環境によって雲のいろが変化すること、カメラのカラーバランスが異なることが原因であり、構造よりも色の重要度が高いことが顕になった。 (2)望遠鏡画像からの点光源検出の実験を行った。これまで、時間変動する天体の抽出のために、撮像画像とテンプレートの引き算画像に対して点源探索を行っていたが、望遠鏡の姿勢になどに起因する光学特性の変化により、この減算処理で引き残しが生じることが多々あった。デファクトスタンダードとして利用されているHotpantsに対し、我々はPSFの評価に畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を応用し、この減算処理を実行することに成功した。 (3)GPUによる処理高速化を実現するために、明野取得画像の処理に使っているIRAFの一部のタスクをOpenACCにてGPUを用いて実行し、同一の計算結果が得られることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新規に研究をスタートした変動天体識別については、先行するすばるHyper Suprime Camの機械学習の手法との差別化、目的の違いを慎重に吟味し、どういうアプローチで何を実現するか議論した。このため、前半年度では気象識別の応用実験とGPUによる高速化実験を進めていたが、後半年では一般に使われているHotpantsの処理の中身を調査し、どの部分をこの研究で高精度化できるかを検討して、期間内に実際のデータで確認を行うなど、限られたマンパワーで非常に意義のある進捗があった。明らかに挑戦的研究でありながら確実に予定した研究を進めており、順調に進んでいると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、可能な限り獲得した技術の応用を目指す。 失敗の可能性が高い萌芽研究でありながら、極めて緊急度と需要の高い技術の芽をいくつも生み出すことが出来ている(気象識別、未同定点源検出、GPUによる処理高速化)。今年度はこれをできるだけ早く、実際の観測に反映して、その有効性を検証し実証することを目標とする。
具体的には、気象識別のための全天モニタの石垣天文台やハワイ観測所岡山分室などへの設置をすすめ、ロボット観測の精度を高める。変動天体検出については、限られた学習データに対する処理であったため、リアルタイムでの活用方法を検討し、可能であれば自動処理パイプラインへ組み込めるよう検討を行う。GPUによる処理高速化は重力波の電磁波対応天体観測ネットワークにおいて喫緊の課題になっており、最初はCUPY等の実装の簡単な言語によるIRAFのタスク置き換えを進め、MITSuME明野・岡山のデータ処理パイプラインの置き換えを目指す。
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Causes of Carryover |
実働の学生の就職等により、昨年度はソフトウェアの開発に注力して作業を進めたが、一方で予定していた全天カメラの開発が遅延しため。次年度使用額がプラスになった。
本年度は、成果発表に加え、繰越分の予算を用いて昨年度予定していた全天カメラの製造・設置等を行う。
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Remarks |
本研究でスタートした分野横断研究チームの成果として、全天カメラによる夜空の気象識別器を、逆に宇宙から地上に向けて応用したものであり、極めて画期的な宇宙実験プログラムとして注目を集めており、2018年度に打ち上げられる予定であり。
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Research Products
(8 results)