2016 Fiscal Year Research-status Report
炎症が惹起する神経変性機構解明のためのヒト血液脳関門の構築
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16K14190
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
根岸 みどり (加藤みどり) 東京大学, 生産技術研究所, 特任研究員 (30300750)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾上 弘晃 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 准教授 (30548681)
森本 雄矢 東京大学, 生産技術研究所, 助教 (60739233)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | マイクロデバイス / 再生医療 / 組織工学 / 神経科学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、炎症作用が血管をから神経組織に入り神経変性が生じる際のメカニズムを解明するために、再生医療技術を利用しガラス基板上に「ヒトiPS細胞由来神経細胞から構築された神経組織と脳毛細血管網の共培養系」を構築することである。初年度は、最初にヒト神経ファイバの構築と詳細な特性評価を行った。ヒト神経幹細胞から構築されたファイバ組織は、PCRと免疫組織化学染色の結果から、分化誘導を行うことで運動神経細胞、抑制性神経細胞、ドーパミン産生神経細胞及び、アストロサイト、オリゴデンドロサイトなどのグリア細胞からなる神経組織を構築することが判明した。また、神経幹細胞をひも状の組織にしたのちに分化誘導することで2次元培養条件下に比べ、分化誘導後の神経細胞の生存率の上昇を確認した。現在は、フィブリンゲル及び、コラーゲンゲル中でヒト血管内皮細胞(HUVEC)とヒト神経ファイバとの共培養に成功している。神経ファイバをパターニングしたデバイス中でこれら2種の細胞を3次元的に共培養することで、培養3~7日間ほどで神経組織周辺部に血管内皮細胞による血管網の構築を観察することができた。またこれらの血管網周辺部には増殖したアストロサイトが存在することも確認できている。現在、本研究成果は国際及び国内の学会に発表するための準備を行っている。一方、ヒト脳毛細血管上皮細胞との共培養条件の検討に時間がかかり、解析系を確立するためにはさらなる培養条件の検討が必要であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒト脳毛細血管上皮細胞の培養条件と神経組織の培養条件が異なるため、共培養条件の検討に時間がかかっているが、培地や細胞外マトリックス(ECM)を工夫することで、血管上皮細胞の生存率が上昇してきている段階である。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒト脳毛細血管上皮細胞と神経組織の共培養条件を確立し、,血管内皮細胞同士がタイトジャンクションで密に接着した血 液脳関門を形成していることを免疫組織化学染色法などにより確認する。また血液脳関門を通過する蛍光グルコースを流すことで,血液脳関門から神経組織への取り込みを経時的に観察し、組織内分布に関する物質輸送シュミレーションを行う。最終的ヒトヘルパーT 細胞を最上部から還流することで毛細血管網へのヘルパーT 細胞の取り込みを評価し、ヘルパーT 細胞が神経組織に及ぼす影響を観察する。
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Causes of Carryover |
次年度より研究代表者の根岸みどりが他研究機関に移動することが内定しため、それに伴い新施設で引き続き円滑に研究を遂行する上で、消耗品や備品などを次年度に購入する必要があったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
物品費として、細胞培養に関わる消耗品の購入(約500,000円)、細胞観察用のレンズの購入(約400,000円)を行う。
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Research Products
(2 results)