2017 Fiscal Year Research-status Report
日本と中国における古建築用語の相互訳および英訳を通した比較研究手法の創生
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16K14369
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Research Institution | Nara National Research Institute for Cultural Properties |
Principal Investigator |
鈴木 智大 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 都城発掘調査部, 研究員 (60534691)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
李 暉 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 文化遺産部, 客員研究員 (30772751)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 木造建築 / 東アジア / 営造法式 / 工程做法 / 相互理解 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本と中国における伝統的な木造建築に関する歴史的な用語の比較を通して、東アジアにおける建築文化の特質を見出す研究手法の創生を目指す。 両国の古建築用語の相互訳をおこなうことで、共通点および各国の特質を見出し、さらに英語訳をおこなうことで、用語の持つ意味を客観的に評価する。さらに翻訳を通じた問題意識の形成・蓄積を通じて、論点を抽出する。 2か年目となる2017年度は、日本と中国の木造建築において、構造的に重要な役割を担った「貫材」に関する論考をまとめ、公表した。本研究では、中国において「貫材」をあらわす用語を整理することで、その時代的な変遷をあきらかにした。さらにその作業から得た問題式を現存する遺構群にフィードバックし、その具体相に迫った。加えて、日本における「貫材」の変化と照らし合わせることで、東アジアの木造建築における変革の同時代性を明らかにした。(鈴木智大「日本と中国における繋貫の出現と変容」『建築の歴史・様式・社会』中央公論美術出版社、pp.423-439、2018年1月。 また、本論文の内容に基づき、2017年9月、関西建築史研究会において、研究発表をおこない、関西在住の建築史研究者および文化財建造物の保存修理に携わる技師らと意見交換をおこなった。 また、昨年度に引き続き、中国の建築用語の系統的な把握をおこない、日本語訳の検討を進めるとともに、日本の建築用語の英訳について、整理をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していたアメリカ出張については、先方との都合が付かず、やむを得ず、次年度に送ることにした。 その一方で、研究論文が掲載された書籍が公刊され、成果を公表することができた。 また、学生アシスタントの助力を得ながら、日中両国の建築用語の整理を順調に進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる2018年度は、日本と中国の建築用語のうちの一部について、両国の共通点と相違点の抽出をし、研究手法のケーススタディをおこなう。また英訳について、アメリカ在住の研究協力者と協議をおこなう。
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Causes of Carryover |
アメリカの研究協力者と当方との都合がつかず、アメリカ出張を次年度おくりとしたため。2018年度に実施する。
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Research Products
(4 results)