2016 Fiscal Year Research-status Report
近赤外イメージングを応用した神経機能マッピング新技術の開発
Project/Area Number |
16K14589
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
三輪 佳宏 筑波大学, 医学医療系, 講師 (70263845)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 蛍光 / 近赤外 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 神経活動非侵襲イメージングマウスの樹立:蛍光イメージング・光音響ダブル検出に適したiRFPを用いて、厳密に分解制御できるTetDeg-iRFPプローブを2種類、2カラー用に開発した。分解の速度、分解を停止した際の蓄積の速度など、プローブのもつ特性に関して、詳細な解析を進めた。また、次の2のテーマにあるように、蛍光タンパク質だけでなく、有機系の色素も候補に加える必要が出てきた。そこで、これを自在にマウスで利用するためのプローブタンパク質の開発を進め、これが分解制御できるものを新たに構築した。loxP・FLPeの組換えによるiRFPの発現のテストを行い、BACベクター上に導入するトランスジーンを構築した。BACベクターの選定作業を進め、複数の候補に関して、解析を進めている。これが確定したのちに、開発したベクターを受精卵に打ち込みTgマウスを作成するステップに移行する。 2. 光音響イメージング技術の確立と髄鞘化の進行過程における脳機能マッピング:複数のiRFPの中から、蛍光イメージングと光音響イメージングの両方に最適なものを選択する。また、これだけでは、様々な用途に対応仕切れないことが明らかになってきたので、有機系の色素もさらに候補に加えるため、化合物やその誘導体のテストを実施し、有望なものを選定した。 3. 痛み解析モデルマウスの樹立:慢性疼痛における抹消と中枢の連関の問題を解き明かすことを可能にするため、複数の痛み受容器の遺伝子のBACベクターの選定を行い、これらにFLPe遺伝子を挿入したベクターの構築を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定にあった蛍光タンパク質だけでは、実際のマウスの解析に進んだ場合に、波長特性などの問題で不十分である可能性が見出された。予想外のできごとではあったが、それに対して、有機系の色素でも同様な解析を可能にする新しいプローブ系の開発に着手し、これを実現することができたので、予定を十分に超える成果が出ていると言える。一方で、適切なBACの選定に関しては、当初の予想以上に情報が不足しており、判定の根拠が難しい面があることがあきらかとなってきた。そのため、こちらの準備はやや遅れ気味である。 以上の状況を総合的に判断すれば、ほぼ当初の予定通りに進行しており、概ね順調であると判定できる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度からは、Tgマウスを作成するステップに着手して、目的を果たせる系統の樹立を進める。また、新たに開発した有機系色素を用いるためのプローブ系に関して、詳細な性質の解析を進め、必要に応じて改良を行うことも検討する。そのために、同じアミノ酸配列をコードしていても、塩基配列は変更する必要も出てくるため、全遺伝子合成を行い、これを現状のものと比較する作業も進める。
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Causes of Carryover |
進捗状況に記載したように、想定外の事実が明らかになり、その対応を実施したために、マウスの作成そのものには着手できなかった。本研究において、もっとも費用がかかるのは、マウスの作成、およびその維持に必要な人件費であり、これらが実際に必要になる次年度に使用することが必要である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
マウスの作成に必要な「その他」の費用、および、マウスの維持管理に必要な人件費・謝金に集中的に予算を投下して、マウスの作成の進度を早めて実施する。
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