2017 Fiscal Year Annual Research Report
Reinvestigation of the Palaeolithic Period human bone discovery site in Hamakita
Project/Area Number |
16K14819
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
近藤 恵 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 助教 (40302997)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
海部 陽介 独立行政法人国立科学博物館, 人類研究部, グループ長 (20280521)
篠田 謙一 独立行政法人国立科学博物館, その他部局等, 研究調整役 (30131923)
佐藤 宏之 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 教授 (50292743)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 浜北人 / 旧石器時代人 / 根堅遺跡 / 有機遺物 |
Outline of Annual Research Achievements |
浜松市浜北区の根堅遺跡において、前年までの予備調査で選定した調査地点2箇所について調査を行った。 1年目は、1地点について発掘調査を行い、裂罅堆積物の状況を詳細に記録した。学術的に重要な遺物は含まれていない堆積であることが確認され、地質サンプルが採取された。裂罅の走行と堆積層の傾斜から、周辺部の石灰岩塊全体の地殻変動の様相を理解するための情報が得られた。もう1つの地点については、露頭に化石包含層が確認され、崩落した堆積物塊中から多数の動物骨化石が発見された。これらの状況より、当初、重要視していた1960年代の発掘調査における詳細な調査地点の確認がなされ、人骨出土地点の再現が可能となる方向が見いだされた。1年目の調査結果については、当遺跡のある浜松市の市民向けに発掘調査報告会を開催し、新聞報道により集まった約120名の参加者に向けて調査の説明を行った。 2年目は、1年目に調査を行った2地点について、地学的な基本情報を詳細に得るために、専門業者の協力の下、裂罅堆積調査地点の基準点と、露頭堆積調査地点の基準点および地形の測量を行った。これにより、1960年代の発掘調査における調査地点を測量データを用いて再現することが可能となった。また、2年目においても1年目と同様に、崩落堆積物から動物骨片数点が収集された。 2年に渡る調査を一段落し、これらの結果について調査報告書を出版するため、研究分担者らの間で構成を決定し、各章のデータの整理と文書作成に取り掛かった。 本調査において得られた知見より、当遺跡を含む一連の石灰岩地帯に存在する他の遺跡との関連性が強く示唆され、周辺部の調査の重要性がより一層窺われたため、予備的に調査を行ったところ、学術的に重要性が高そうで、今後、新たに調査すべき地点が選定された。次の調査実行に向けた準備ができたことからも、挑戦的萌芽研究として十分な成果があったと考えている。
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