2016 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of age-related metabolic changes in mitochondria of Caenorhabditis elegans
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16K14899
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田之倉 優 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (60136786)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ミトコンドリア / 代謝動態 / 線虫 / 老化 / 寿命 |
Outline of Annual Research Achievements |
ミトコンドリアはTCA回路や電子伝達系によるエネルギー産生の場であると同時に、個体の寿命、加齢性難聴やサルコペニアなどの老化調節に関わる。TCA回路の中間体であるオキサロ酢酸やα-ケトグルタルさんが線虫の寿命を延長する効果を示すことから、本研究ではミトコンドリア代謝物の寿命調節機能に着目した。寿命研究の代表的なモデル生物である線虫を用いて、下記の研究を実施した。 (1)線虫のミトコンドリア単離・代謝物抽出の条件検討と代謝物分析:固体培地を用いて同期させた線虫を飼育して回収し、マルチビーズショッカーを用いた線虫の効率的破砕と多段階遠心分離によるミトコンドリア分画を検討した。また、GC-MSによる線虫の比較定量分析が実施直前に報告されたため、本研究では超臨界抽出型LC-MS/MS分析装置を用いて、線虫のミトコンドリア代謝物であるコエンザイムQ10等について、インタクトな酸化・還元状態の解析を試みた。 (2)代謝パスウェイの加齢動態に基づく代謝物の寿命延長効果の評価:GC-MS分析結果に基づき、プリンヌクレオチド代謝物の加齢に伴う減少に着目し、それらとプリンヌクレオチド代謝経路の阻害剤を線虫に摂食させて寿命測定を行った。その結果、いずれの代謝物と阻害剤においても線虫の寿命を延長する効果が示された。また、線虫内でAMP等のプリン代謝物の蓄積がHPLCで観測された。AMPにより活性化するAMPキナーゼのドミナントネガティブ変異型の線虫では、プリンヌクレオチド代謝物の効果が見られなかったことから、線虫の寿命延長にはAMPキナーゼの活性化を介した機構が示唆された。
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